海洋温度差発電のことをいう。海洋表層の温水(20℃以上)と深海の冷水(数℃くらい)との温度差を利用して行う発電。新しい発電方式の一つとしてアメリカ,フランス,日本などで開発中で,1979年8月にはハワイ島ケアホーレ岬沖で,深度650mの冷海水を取水し総出力50kWの実験に成功している。数百mから1000mくらいの深海の冷水を長大なパイプを通してポンプでくみ上げ,表層の温水で暖め蒸発させた作動流体を冷却する。このときの圧力差で作動流体が膨張しタービンを回転させる。原理的には火力発電で水蒸気を作動流体としてタービンを回し発電機で発電するのと同じである。温度が低く温度差が20℃くらいと小さいので作動流体としてはアンモニアやフロンが用いられる。金属や半導体に温度差を与えると電流が流れるゼーベック効果を利用する熱電気発電と組み合わせることも考えられる。発電した電力はケーブルで送電されるが,長距離の場合は困難もあるので離島への電力供給から実用に入るものと期待されている。
執筆者:河野 照哉
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
(2019-10-3)
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
…日本では潮汐による落差は4.5m以下であり,装置が大型,高価となり経済的に引きあいにくいと思われる。温度差発電は,表層水温と数百m下の冷水温との差約20℃を利用してアンモニアまたはフロンの気化,凝結を繰り返してタービンを駆動しようとするものである。実海域での初期的な実験としては,アメリカのOTEC(Ocean Thermal Energy Conversion)計画,日本のナウル島における実験,徳之島における実験がある。…
※「温度差発電」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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