改訂新版 世界大百科事典 「湯瀬」の意味・わかりやすい解説
湯瀬[温泉] (ゆぜ)
秋田県北東部,鹿角(かづの)市にある米代川上流の温泉。十和田八幡平国立公園探勝の足だまりで,JR花輪線湯瀬駅に近い。温泉から下流約4kmの湯瀬渓谷は,緑色凝灰岩からなる剣ヶ岩,地蔵岩,傘(からかさ)松,天狗橋などの奇岩奇勝に富む。五ノ宮岳(1115m)南麓に湧出した温泉で,上ノ湯,中ノ湯,下ノ湯,鹿ノ湯,川原ノ湯などがあり,地名は川の瀬に湯が湧いたことに由来するという。泉質は単純硫化水素泉,泉温56~64℃。近世以来,鹿角地方と盛岡を結ぶ鹿角(津軽)街道の中継地で,古い湯治場の雰囲気を伝える旅館と近代設備を備える旅館が混在する。温泉華を原料とする黒砂糖洗粉,フルーツセッケン,はちみつセッケンなどが作られる。
執筆者:北条 寿
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報