鹿角(読み)ろっかく

精選版 日本国語大辞典 「鹿角」の意味・読み・例文・類語

ろっ‐かく ロク‥【鹿角】

〘名〙
① 鹿の角。漢方強壮剤に用いる。〔医語類聚(1872)〕 〔礼記月令
② 昔、軍陣の具。鹿の角に似た鉄製熊手で柄があり、物を引っかけて引きよせるのに用いた。
太閤記(1625)四「敵鹿角を以て、既に塀を引破らんとす」
③ 「ろっかくさい(鹿角砦)」の略。〔五国対照兵語字書(1881)〕

かづの【鹿角】

[1] 秋田県北東部の地名。大湯川・米代川の流域にあり、北は十和田湖を挟んで青森県に接する。江戸時代、南部氏盛岡藩領として農業・畜産が盛んに行なわれ、特に尾去沢鉱山は藩直営の鉱山として栄えた。昭和四七年(一九七二市制
[2] 秋田県の北東端の郡。米代(よねしろ)川の上流域にある。

わさ‐づの【鹿角】

〘名〙 鹿の角を上端につけた杖。念仏僧が持ち歩いた杖。かせづえ。
梁塵秘抄(1179頃)二「聖の好む物、木の節・わさづの・鹿の皮、蓑笠錫杖木欒子

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デジタル大辞泉 「鹿角」の意味・読み・例文・類語

かづの【鹿角】

秋田県北東部の市。リンゴ栽培や、酪農などが盛ん。尾去沢おさりざわ鉱山があった。八幡平はちまんたい十和田湖への観光基地。人口3.4万(2010)。

ろっ‐かく〔ロク‐〕【鹿角】

鹿しかのつの。漢方で強壮薬に用いる。
昔の武具の一。鹿のつのに似た鉄製のくま手。引っかけて物を引き寄せるのに使った。

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改訂新版 世界大百科事典 「鹿角」の意味・わかりやすい解説

鹿角[市] (かづの)

秋田県北東部,花輪(鹿角)盆地の中心都市。1972年,鹿角郡花輪町,十和田町,尾去沢町,八幡平村が合体して市制,改称。人口3万4473(2010)。9世紀ころ,この地方は上津野(かづの)といわれた。周辺は奥羽山脈の山並みで,中央部に花輪盆地が開け,米代・大湯・小坂川が三方より流入している。河川の沖積平野は水田化され,山麓は高・中・低位河岸段丘の発達が著しく,果樹園,普通畑として利用される。鹿角リンゴ(ふじ,デリシャス)は県北を代表する果物である。また野菜類の生産,乳用牛,肉用牛の飼育も多い。近世,花輪,毛馬内(けまない)には盛岡藩の代官所が置かれ,この地方の行政,経済の中心地であった。現在も花輪は市の中心をなし,市役所のほか県庁出先機関も多く,盆地南半部と岩手県八幡平市,二戸市,二戸郡を商圏としており,また毛馬内は十和田地方の中心をなし,盆地北半部を商圏として商業が盛んである。JR花輪線が通じ,東北自動車道に鹿角八幡平と十和田の二つのインターチェンジがある。大湯は泉源多く,湧出量豊かな温泉町として知られる。尾去沢鉱山は近世以降,日本有数の銅山として著名であったが,1978年に閉山した。八幡平は八幡平観光の秋田県側出入口で,湯瀬・八幡平温泉群も観光地としてにぎわう。大日堂舞楽は重要無形民俗文化財。また大湯環状列石がある。
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普及版 字通 「鹿角」の読み・字形・画数・意味

【鹿角】ろくかく

鹿の角。また、防禦用の柵。魏・武帝〔軍策令、一〕夏侯淵、今、鹿角を燒却す。鹿角は本營を去ること十五里なり。~淵は本(もと)能く兵を用ふるに非ず。軍中呼んで白地將軍と爲す。

字通「鹿」の項目を見る

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世界大百科事典(旧版)内の鹿角の言及

【骨角器】より

…とくに骨角器の生産の高まったのは,後期旧石器時代になってからである。各種の骨や角から,槍先や銛(もり)頭のような狩猟具,針や錐(きり)といった工具,鹿角製の投槍器や指揮棒,そしてマンモス牙製の女性像や装身具が作りだされている。このように骨角器が多種・多量に生産されたのは,後期旧石器時代になって,人類の精神活動が著しく向上したことと相まって,道具を作るための道具である石器,すなわち,ものを彫ったり,削ったりする彫器や,ものを磨研する砥石類などの製作・使用技術を手に入れたからである。…

※「鹿角」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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