十和田湖(読み)とわだこ

精選版 日本国語大辞典 「十和田湖」の意味・読み・例文・類語

とわだ‐こ【十和田湖】

青森・秋田両県の県境にあるカルデラ湖十和田火山の噴火で形成された。排水河川は奥入瀬川。魚類は生息しなかったが、明治時代和井内貞行ヒメマスの養殖に成功。湖面標高四〇〇メートル。面積六一・〇平方キロメートル。最大水深は三二七・〇メートルで日本第三位。十和田八幡平国立公園の一中心。

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デジタル大辞泉 「十和田湖」の意味・読み・例文・類語

とわだ‐こ【十和田湖】

青森・秋田の県境にあるカルデラ湖。東岸の子ノねのくちから奥入瀬おいらせが流出。十和田八幡平国立公園の中心。面積59.8平方キロメートル。深度327メートル。湖面標高401メートル。

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日本歴史地名大系 「十和田湖」の解説

十和田湖
とわだこ

八甲田はつこうだ連峰の南、青森・秋田両県境にある二重式カルデラ湖。湖畔は東側が上北郡十和田湖町、西側が秋田県鹿角かづの小坂こさか町に属する。南岸から湖面に御倉おぐら中山なかやま両半島が突出している。両半島は第一次の中央火口丘が陥没してできた第二次の小カルデラ壁で、両半島の間を中湖なかのうみとよび、御倉半島の東を外湖そとのうみ(東湖)、中山半島の西を内湖うちのうみ(西湖)とよぶ。

御倉半島の先端部にある御倉山(六八九・九メートル)は第二次中央火口丘である。湖の周囲には御鼻部おはなべ(一〇一〇・三メートル)・十和田山(一〇五三・八メートル)たか山・なまり山などの外輪山があり、これらから流れ込む水は透明度の高い湖をつくりだし、やがて奥入瀬おいらせの渓流となって躍動する。面積五九・八平方キロ、周囲四四キロ、湖水面の標高四〇〇メートルで、最深部は三二六・八メートルに及ぶ(理科年表)

十和田湖は人里から遠く離れ、藍色の湖水は見る人に神秘性と清浄さを感じさせずにはいないが、また数々の伝説に彩られている。なかでも八郎太郎(八郎・八之太郎)と南祖坊(南蔵坊)が湖の主争いをしたという話は広く知られている。南部斗賀とが(現三戸郡名川町)の南祖坊が熊野に詣で、修行の末熊野権現の神示を得て諸国を巡り、十和田湖に入った。ここで八郎太郎を追いやって湖の主となり、十和田山青竜権現として信仰されるようになったというものである。天文年間(一五三二―五五)の津軽郡中名字には「津軽と糠部ぬかのぶの堺糠檀かうだの嶽に湖水有、十湾とわだの沼と言ふ也。

十和田湖
とわだこ

国立公園。二重陥没火山湖。小坂町北東端部、青森県境に位置。「東遊雑記」に次のようにある。

<資料は省略されています>

東西・南北ともにおよそ一〇キロ、面積五千八〇〇ヘクタール、最深三四八メートル、透明度は二五メートル。御倉おぐら中山なかやま両半島が北西方向に延び中湖を挟む。周辺にいわ(八七九・九メートル)白地しろじ(一〇三四メートル)なまり(九〇三メートル)たか(七二五メートル)、十和田山(一〇五四メートル)などの山があり、十和田八幡平国立公園に含まれる。

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改訂新版 世界大百科事典 「十和田湖」の意味・わかりやすい解説

十和田湖 (とわだこ)

青森・秋田県境にある二重式カルデラ湖。面積59.8km2,湖面標高400m,湖周約44km,最大深度327m。湖の形成過程はまず現在の湖に中心をもつ成層火山の噴火による陥没で,現在のような輪郭がつくられ,次の活動期に中央火口丘の中心が陥没して中湖(なかのうみ)が生じた。湖の南岸から牛の角のように突出する二つの半島が中央火口丘にあたり,西が中山,東が円頂丘の御倉山(690m)である。湖の南半は両半島によって分けられ,東から東湖(外湖),中湖,西湖(内湖)とよばれ,北半は北湖とよばれる。湖をとりまく外輪山には御鼻部(おはなべ)山(1011m),白地山(1034m),十和田山(1054m)などがあり,観光道路は西側の滝ノ沢峠,南側の発荷(はつか)峠と東側の湖の排水口にあたる奥入瀬(おいらせ)川渓谷沿いに通じている。

 湖には魚類は生息していなかったが,1903年に十和田銀山の技師和井内(わいない)貞行が北海道の支笏(しこつ)湖原産のヒメマスの稚魚5万尾を放流し,養殖に成功してから魚がすむようになった。〈和井内マス〉として知られ,西岸の生出(おいで)に和井内養魚場がある(現在は廃止)。十和田八幡平国立公園に属し,周囲の山地はブナ,カエデ,ナラなどにおおわれ,紅葉の季節にはとくに観光客が多い。観光の中心は南岸にある休屋(やすみや)で,バスターミナルの広場を中心に旅館,食堂,みやげ品店が集まり,科学博物館や淡水魚水族館(現在は閉鎖)もある。休屋の北,御前ヶ浜には高村光太郎作の〈乙女の像〉があり,十和田湖のシンボルになっている。

 十和田湖の東口,子(ね)ノ口から焼山にいたる約14kmの奥入瀬渓流は,沿岸の樹林をうつして変化の多い景観を示し,幅13m,比高8mの銚子大滝をはじめ多くの滝がかかっている。十和田湖への入口は青森口,三沢口,弘前口,十和田南口の四つがあり,いずれもバスの便がある(弘前口のバスの便は廃止)。子ノ口~休屋間は遊覧船が運航している。
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十和田湖(旧町) (とわだこ)

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百科事典マイペディア 「十和田湖」の意味・わかりやすい解説

十和田湖【とわだこ】

青森・秋田両県にまたがる複式の大カルデラ湖で,活火山。標高400m,面積61.11km2,最深326.8m。南岸から新期カルデラ外輪山の一部が中山・御倉両半島をなして突出。美しい藍(あい)色を呈し,東岸子ノ口(ねのくち)から奥入瀬(おいらせ)川が流出する。古くから熊野信仰と結びついていたとされ,16世紀の記録には十湾とみえる。菅江真澄の《十曲湖》には大勢の参詣人が来て泊まり,精進にこもる建物があると記されている。十和田八幡平国立公園の中核をなし,紅葉期は特に美しい。南岸の休屋が湖畔観光の中心。
→関連項目カルデラ湖十和田[市]十和田湖[町]発荷峠

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「十和田湖」の意味・わかりやすい解説

十和田湖
とわだこ

青森,秋田県境にあるカルデラ湖。面積 61km2。周囲 46km,湖面標高 400m,最大水深 327m,透明度 9m。八甲田火山群の初期の活動による陥没で湖の輪郭が形成され,中央火口丘成立後2度目の陥没で中海が形成された。東岸の子ノ口 (ねのくち) から排水,奥入瀬川となって太平洋に注ぐ。湖岸をめぐる山々は,カルデラの外輪山にあたり,御鼻部山 (1011m) ,白地山 (1034m) などが連なる。湖面側は急崖をなし,外側斜面はカエデ,ブナ,マツなどの混合林がおおう。春の新緑,秋の紅葉が美しい。 1903年和井内貞行ヒメマスの養殖に成功。南西岸に生出 (おいで) 養殖場がある。奥入瀬渓流を含めて特別名勝,天然記念物に指定されている。十和田八幡平国立公園に属する。

十和田湖
とわだこ

青森県南部,十和田市南西部の旧町域。奥入瀬川上流域を占める。 1955年十和田町として町制。秋田県にも同名の町があったことから 1975年十和田湖町と改称。 2005年十和田市と合体。大部分が山林,原野に覆われる。江戸時代盛岡藩に属し,五戸代官によって管轄されていた。西半分が十和田八幡平国立公園の指定区域内にある。 1963年猿倉温泉から 12kmの引き湯工事を行ない十和田湖温泉郷が誕生した。十和田湖温泉スキー場や湯の平高原がある。

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事典 日本の地域遺産 「十和田湖」の解説

十和田湖

(青森県十和田市;秋田県鹿角郡小坂町)
美しき日本―いちどは訪れたい日本の観光遺産」指定の地域遺産。

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事典・日本の観光資源 「十和田湖」の解説

十和田湖

(青森県十和田市・秋田県鹿角郡小坂町)
日本八景〔東京日日新聞・大阪毎日新聞〕」指定の観光名所。

十和田湖

(青森県十和田市・秋田県鹿角郡小坂町)
日本の重要湿地500」指定の観光名所。

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