溶成リン肥(読み)ようせいりんぴ

日本大百科全書(ニッポニカ) 「溶成リン肥」の意味・わかりやすい解説

溶成リン肥
ようせいりんぴ

リン鉱石蛇紋岩(じゃもんがん)などの苦土含有物を混合したものを溶融し、これに高圧冷水を接触させて急冷・水砕したもの。「熔成リン肥」とも表記する。原料の種類により、緑色、黒褐色、灰色を呈する。原料の一部にマンガン鉱またはホウ砂を加えたものはBM溶リンとよばれる。塩基性肥料で、17~25%のリン酸を含み、その大部分が水には溶けないがクエン酸には溶けるク溶性リン酸である。酸性土壌老朽化水田にとくに適した肥料であり、火山灰土壌などでは土壌改良材としても使用されている。

[小山雄生]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「溶成リン肥」の意味・わかりやすい解説

溶成リン肥
ようせいりんぴ
fused phosphate fertilizer

溶融方式でつくられるリン酸肥料の総称。リン酸アルカリ石灰とリン酸三石灰を含むものが日本ではつくられている。原料,製造法は多様であるが,たとえばリン鉱石と芒硝にリン酸を加えて造粒したものをロータリーキルン中で水蒸気の存在下 1350℃に焼成し,冷却粉砕して製品とする。単肥として特に酸性土壌,火山灰土壌,秋落水田,開拓地などに使われる。また尿素などほかの肥料と配合するとすぐれた複合肥料となる。

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