漫ろく(読み)スズロク

デジタル大辞泉 「漫ろく」の意味・読み・例文・類語

すずろ・く【漫ろく】

[動カ四]
落ち着かず、そわそわする。
「この男いたく―・きて、門近き廊の簀子だつ物に尻かけて」〈帚木
わけもなく恥ずかしがる。
「いと―・きてとみに言ひもいださず」〈著聞集一六

そぞろ・く【漫ろく】

[動カ四]心に落ち着きがなくなる。そわそわする。すずろく。
兵杖ひゃうぢゃうを帯したる者どもも皆―・いてぞ見えける」〈平家・二〉

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「漫ろく」の意味・読み・例文・類語

すずろ・く【漫】

  1. 〘 自動詞 カ行四段活用 〙 すずろになる。嬉しさや悲しさや心配などのために、心がうつろになる。そわそわする。すぞろく。
    1. [初出の実例]「この男、いたくすすろきて、門近き廊の簀の子だつ物に、尻かけて」(出典:源氏物語(1001‐14頃)帚木)

漫ろくの語誌

( 1 )語尾「く」は「古事記伝」など近世文献濁音にしてあるものが見られるが、中世末の「岷江入楚‐二」によると清音に読まれていたと考えられる。
( 2 )中世には、「すずろく」のほかに「そぞろく」「すぞろく」の形でも用いられたが、「観智院本名義抄」には「すずろく」のみが登載され、ほかの形は見出せない。


そぞろ・く【漫】

  1. 〘 自動詞 カ行四段活用 〙
  2. 思慮分別自信などを失ったさまになる。そわそわする。または、もじもじする。すずろく。
    1. [初出の実例]「この男、いたうそぞろきて」(出典:青表紙一本源氏(1001‐14頃)帚木)
    2. 「兵杖を帯したる者共も、皆そぞろいてぞみえける」(出典:平家物語(13C前)二)
  3. 格別とりたてたりこだわることなくのびのびとする。
    1. [初出の実例]「此等の巻頭・発句、そぞろきて見え侍り」(出典:ささめごと(1463‐64頃)上)

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