岷江入楚(読み)みんごうにっそ

精選版 日本国語大辞典 「岷江入楚」の意味・読み・例文・類語

みんごうにっそ ミンガウニッソ【岷江入楚】

(「みんごうじっそ」とも) 「源氏物語」の注釈書。五五巻。中院通勝著。慶長三年(一五九八成立細川幽斎委託を受け、諸注集成を目的に作られた書。「河海抄」「花鳥余情」「弄花抄」などの旧注に、師説・自説を加える。通勝の自説は大体穏健妥当である。

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デジタル大辞泉 「岷江入楚」の意味・読み・例文・類語

みんごうにっそ〔ミンガウニツソ〕【岷江入楚】

安土桃山時代源氏物語の注釈書。55巻。中院通勝著。慶長3年(1598)成立。諸注を集成し、三条西家の説や自説を加えたもの。みんごうじっそ。みんごうにゅうそ

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改訂新版 世界大百科事典 「岷江入楚」の意味・わかりやすい解説

岷江入楚 (みんごうにっそ)

《源氏物語》の注釈書。中院通勝(なかのいんみちかつ)著。1598年(慶長3)成立。書名揚子江源流とされた岷江が,下流の楚で大河となることから,注釈の流れを集成する意。《河海抄》《花鳥余情》《弄花(ろうか)抄》などの中世の代表的注釈,室町期に《源氏物語》研究で一流を成した三条西家の公条(きんえだ),実枝(さねえだ)などの諸説,さらに通勝の自説が挙げられていて,《源氏物語》の諸注集成として質量ともに最高のものである。
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世界大百科事典(旧版)内の岷江入楚の言及

【源氏物語】より

…その子孫が公条(きんえだ)―実澄(さねずみ)(実枝)―実条であり,彼らの手で《明星抄》《山下水(やましたみず)》が成った。実枝の甥の中院通勝(なかのいんみちかつ)が細川幽斎の協力を得て完成した《岷江入楚(みんごうにつそ)》もこの学統を受けたもので,中世古注の集大成である。なお室町末から江戸初期にかけては,ほかに《覚勝院抄》《孟津(もうしん)抄》《紹巴(じようは)抄》などの古注があり,特に《湖月抄》は簡便な注によって,永く標準的な流布本の位置を占めた。…

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