瀬戸物屋(読み)せとものや

精選版 日本国語大辞典 「瀬戸物屋」の意味・読み・例文・類語

せともの‐や【瀬戸物屋】

〘名〙 瀬戸物を商う家。また、瀬戸物を商う人。
※俳諧・談林十百韻(1675)上「あらかねの土うかつ穴蔵在色〉 久堅の天目花生瀬戸物屋〈松臼〉」
咄本・軽口御前男(1703)二「或そさうもの、瀬戸物(セトモノ)屋へ水壺買にゆき」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「瀬戸物屋」の意味・わかりやすい解説

瀬戸物屋
せとものや

陶磁器を売買する店。東日本では瀬戸焼の瀬戸が陶磁器の総称になり、したがって瀬戸物屋の呼称も生まれた。ちなみに、西日本の一部には唐津焼(からつやき)の影響で陶磁器全般を唐津とよんでいる所もある。

 瀬戸焼は、窯元と消費者の直接売買であったが、17世紀に京・大坂江戸に小売専門の瀬戸物屋ができた。これは当時瀬戸焼が、他の焼物と比べていかにポピュラーな商品価値を備えていたかを物語る証(あかし)といえよう。18世紀に入ると、大坂・江戸に卸売りの瀬戸物問屋が現れた。これにより、瀬戸焼だけでなく各地の窯元からさまざまの種類の焼物を集荷し、小売店に卸すという流通システムが確立した。問屋、小売りともに一定地域に集住していたが、小売りのほうは都市の地域的発展に伴い、各地に散住していった。近代の19世紀後半になって、陶器だけを扱う問屋もできた。

遠藤元男

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