日本大百科全書(ニッポニカ) 「灰色森林土」の意味・わかりやすい解説
灰色森林土
はいいろしんりんど
gray forest soil
中部ヨーロッパからユーラシアの内陸にかけて気候と植生の帯状配列がみられるなかで、冷温帯の混交林にほぼ対応分布する土壌として灰色森林土が認められる。腐植の集積した表土の直下に弱いポドゾル化作用を受けた灰色または灰褐色の下層土を有し、中程度の酸性を呈するもので、冷帯から寒帯に広がる針葉樹林下のポドゾルに移行する一方、温帯に向かって褐色森林土に変わる中間帯に位置する。したがって灰色ポドゾル性土(または灰褐色ポドゾル性土)とも名づけられる。ユーラシアでは東岸の湿潤気候地域にもみられ、高緯度側のポドゾル域と低緯度側の褐色森林土域の移行帯として、日本の北海道から東北地方にかけて山地や丘陵台地に分布している。
[浅海重夫]