災害時情報集約支援チーム(読み)さいがいじじょうほうしゅうやくしえんちーむ(英語表記)Information Support Team

日本大百科全書(ニッポニカ) の解説

災害時情報集約支援チーム
さいがいじじょうほうしゅうやくしえんちーむ
Information Support Team

大規模災害時に、被災地へ派遣される災害情報の一元的な集約・提供チーム。英語の頭文字からISUT(アイサット)と略称する。被災都道府県の災害対策本部に派遣され、国・自治体・民間関係機関から気象・災害、救助インフラやライフラインの被災・復旧状況、避難所開設や支援物資、ボランティア活動などの関連情報を集め、地図上に表示し、専用サイトを通じて国民や関係機関へ情報提供する役割を担っている。内閣府が主導し防災科学研究所などが協力して、2018年(平成30)の大阪北部地震、西日本豪雨、北海道胆振(いぶり)東部地震で試行運用を開始。2019年(令和1)5月、災害対策基本法(昭和36年法律第223号)に基づく防災基本計画にISUTの派遣が明記され、本格運用を始めた。チームは内閣府、防災科学研究所、民間企業、自治体などの専門家で構成する。防災科学研究所が中心となって開発した基盤的防災情報流通ネットワーク(SIP4D)を使って、一般向け情報は防災クロスビューbosaiXview、災害関係機関限定情報はISUTサイトのそれぞれのWebサービスで提供する。

 一般に震災、津波、台風、豪雨などの大規模災害時には、内閣府、総務省、国土交通省、自衛隊、自治体、警察、消防電力・ガス・通信会社などの間で、被災箇所、道路・電力供給・通信網などの寸断状況、復旧の障害物などの情報が共有されておらず、ばらばらで縦割り機関ごとに情報が錯綜(さくそう)し、これが救助、復旧、被災者支援などを遅らせる要因となってきた。ISUTは台風の進路や降水量・震度分布から、警報・注意報、火災・浸水土砂崩れなどの被災箇所、建物の損壊孤立集落、停電・通信途絶、道路通行の可否、避難所の位置・収容人数、給水・入浴支援箇所、医薬品・支援物資量、ボランティアの人数までの幅広い情報を収集し、地図に一覧で表示することで情報の統一・共有を図る。これにより救助・復旧の優先順位づけや、迅速で効率的な支援を促す機能を担っている。

[矢野 武 2021年10月20日]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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