精選版 日本国語大辞典 「震度」の意味・読み・例文・類語
しん‐ど【震度】
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震度階級 | 人の体感・行動 | 屋内の状況 | 屋外の状況 |
0 | 人は揺れを感じないが、地震計には記録される。 | ||
1 | 屋内で静かにしている人の中には、揺れをわずかに感じる人がいる。 | ||
2 | 屋内で静かにしている人の大半が、揺れを感じる。眠っている人の中には、目を覚ます人もいる。 | 電灯などのつり下げ物が、わずかに揺れる。 | |
3 | 屋内にいる人のほとんどが、揺れを感じる。歩いている人の中には、揺れを感じる人もいる。眠っている人の大半が、目を覚ます。 | 棚にある食器類が音を立てることがある。 | 電線が少し揺れる。 |
4 | ほとんどの人が驚く。歩いている人のほとんどが、揺れを感じる。眠っている人のほとんどが、目を覚ます。 | 電灯などのつり下げ物は大きく揺れ、棚にある食器類は音を立てる。座りの悪い置物が、倒れることがある。 | 電線が大きく揺れる。自動車を運転していて、揺れに気付く人がいる。 |
5弱 | 大半の人が、恐怖を覚え、物につかまりたいと感じる。 | 電灯などのつり下げ物は激しく揺れ、棚にある食器類、書棚の本が落ちることがある。座りの悪い置物の大半が倒れる。固定していない家具が移動することがあり、不安定なものは倒れることがある。 | まれに窓ガラスが割れて落ちることがある。電柱が揺れるのがわかる。道路に被害が生じることがある。 |
5強 | 大半の人が、物につかまらないと歩くことが難しいなど、行動に支障を感じる。 | 棚にある食器類や書棚の本で、落ちるものが多くなる。テレビが台から落ちることがある。固定していない家具が倒れることがある。 | 窓ガラスが割れて落ちることがある。補強されていないブロック塀が崩れることがある。据付けが不十分な自動販売機が倒れることがある。自動車の運転が困難となり、停止する車もある。 |
6弱 | 立っていることが困難になる。 | 固定していない家具の大半が移動し、倒れるものもある。ドアが開かなくなることがある。 | 壁のタイルや窓ガラスが破損、落下することがある。 |
6強 | 立っていることができず、はわないと動くことができない。揺れにほんろうされ、動くこともできず、飛ばされることもある。 | 固定していない家具のほとんどが移動し、倒れるものが多くなる。 | 壁のタイルや窓ガラスが破損、落下する建物が多くなる。補強されていないブロック塀のほとんどが崩れる。 |
7 | 立っていることができず、はわないと動くことができない。揺れにほんろうされ、動くこともできず、飛ばされることもある。 | 固定していない家具のほとんどが移動したり倒れたりし、飛ぶこともある。 | 壁のタイルや窓ガラスが破損、落下する建物がさらに多くなる。補強されているブロック塀も破損するものがある。 |
ある地点における地震動の強弱の程度を表す数値。地震そのものの規模を表すマグニチュードとは異なり,同じ地震でも地点が違えば震度は違う値になりうる。外国では1から12までの12階級のものを用いることがふつうで,その代表的なものは〈改正メルカリ震度階(MM震度階)〉(1931)である。また国際的に共用することをめざして〈MSK震度階〉(1963)が作られたが,あまり普及していない。日本の震度階は1884年に微・弱・強・烈の4階級のものを制定したのが初めで,98年に弱震を弱震(弱キ方)と弱震に,強震を強震(弱キ方)と強震に分け6階級とした。1936年に弱震(弱キ方)を軽震,強震(弱キ方)を中震と改称。49年に烈震を烈震と激震に分け,0(無感)から7(激震)までの8階級とし,長く用いられた。さらに96年には,震度5と6を5弱,5強,6弱,6強に分け10階級とし,軽震,強震などの地震動の強さの名称を廃止した(表)。
従来地震の直後に気象庁が発表する震度は,各地の気象台,測候所の観測当番が人体感覚や周囲の物体の動き,被害などから判定していた。96年からは計測震度計を使い自動的に速報している。
震度は地震動の振幅とは対応しない。地面が10cmの振幅で揺れても,周期が30秒ならば体感はないが,振幅が1mmでも周期が0.3秒ならば揺れを感じる。震度と比較的対応のよい物理量は地震動の加速度である。図は気象庁震度階級とMM震度階と加速度との対応を示しているが(ガルGalは加速度の単位で,1Gal=1cm/s2),この対応はごく大略のもので,最大加速度が150Galでも振動が長く続けば倒壊家屋が出る(震度6となる)だろうし,300Galでもごく短時間で終わってしまえば被害は出ない(震度4)こともある。震度は地震動の加速度,その周期,継続時間などの複雑な組合せによるものなので,器械によって測ることは不可能ではないとしても容易ではない。震度計というものも市販されているが,地震動の強さの一面だけを測っているので,その指示する値は地震動の性質によっては体感とはかなり違うことがある。
執筆者:宇津 徳治
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地震動の強弱を示す量。日本では気象庁の10階級の震度階級表が使われている。震度は0~7(5と6はそれぞれ強と弱に分けられる)の数字で示される。地震の震度は計測震度計によって自動的に計測され速報されるようになった。以前は地震動が人間の行動や物体に与える影響から決められていたが、1996年(平成8)4月からはこの計測震度計が採用されている。計測震度計による震度は計測震度とよばれ、小数点以下1桁(けた)で示す。これを四捨五入したものを震度階級という。震度階級表に示されている現象はあくまで参考のもので、この表によって震度を決めるものではない。2004年現在、震度観測点は気象庁で約600点、地方公共団体で約2840点などであり、後者のデータも震度情報として発表されている。
震度は場所、震源からの距離、地盤の良否、建物の種類、居合わせた建物の階数によって大幅に異なる。震度は、地震の規模が大きいほど、震源に近いほど、そして地盤が悪くなるほど大となる。震度の等しい所を結んだ線(等震度線)は、震央を取り囲む円形に近い形になるのが基本である。しかし深発地震では、その形が東西に非対称になる。震源から遠い所の震度が近い所よりも強くなることは珍しくはない。また、東北日本の太平洋沖の地震では等震度線は南北に細長い形になる。マグニチュードを電灯のワット数とすると、震度は机の上の明るさルクスに相当する。
[宇佐美龍夫]
『気象庁監修『震度を知る 基礎知識とその活用』(1996・ぎょうせい)』
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出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
(阿部勝征 東京大学教授 / 2007年)
出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報
…この揺れのことを地震動というが,一般には地震動のことも地震と呼んでいる。
[マグニチュードと震度]
地震には,数百kmの範囲にわたって強い地震動をもたらし,大災害を生じるような巨大地震から,地震動は人体に感じられず,高感度の地震計だけが記録するような微小地震まで,大小さまざまなものがある。地震の大きさ(規模)はマグニチュードによって表示される。…
…小さいほうは-2くらいまで観測される。 マグニチュードの大きい地震ほど,震央付近の震度は高く,また広い範囲で感じられる傾向はあるが,震度はいろいろな条件に左右されるので,大きい地震のほうが必ず震度が高く,被害も大きくなるとは限らない。気象庁のマグニチュードでM8.0以上の浅い地震が内陸や沿岸部に起これば,広い範囲にわたって大災害が生じ,海底に起これば大津波が発生する。…
※「震度」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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