点す(読み)トモス

デジタル大辞泉 「点す」の意味・読み・例文・類語

とも・す【点す/灯す】

[動サ五(四)]
あかりをつける。とぼす。「ろうそくを―・す」
男女が交合する。とぼす。
「お前がた二人は丁ちんの側も構はず―・しかけなさるよって」〈咄・臍の宿替・九〉
[可能]ともせる
[類語]点ける点灯点ずる

とぼ・す【点す/灯す】

[動サ五(四)]
あかりをつける。ともす。「燭台の火を―・す」
男女が交合する。
「わっちらが様な数ならぬ女郎でも、―・しておくんなんす心意気は」〈洒・繁千話〉

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「点す」の意味・読み・例文・類語

とも・す【点・灯・燭】

  1. 〘 他動詞 サ行五(四) 〙
  2. 灯火をつける。火を燃やす。点火する。とぼす。
    1. [初出の実例]「海原の沖辺に等毛之(トモシ)(いさ)る火は明して登母世(トモセ)大和島見む」(出典万葉集(8C後)一五・三六四八)
  3. 男女が交合する。とぼす。
    1. [初出の実例]「ぬしゃきつひくろふせふだね、もしこの子をともす気か」(出典:洒落本・仮根草(1796か)三子東深結妓)

点すの語誌

上代から平安初期にかけては「ともす」の例しか見えないが、平安中期にm→b交替形の「とぼす」が出現し、中世には「ともす」を圧倒するまでに勢力を伸ばした。しかし、近世になると再び「ともす」が勢力を盛り返し、遂には「とぼす」を中央語から駆逐した。現在では、方言を除いて「とぼす」は見られない。


とぼ・す【点・灯・燃】

  1. 〘 他動詞 サ行四段活用 〙
  2. ろうそく、灯心などに点火する。あかりをつける。ともす。
    1. [初出の実例]「夜暗の中に而も大火を然(トホセる)がごとし」(出典:守護国界主陀羅尼経平安中期点(1000頃))
  3. 男女が交合する。性交する。〔譬喩尽(1786)〕

点すの語誌

⇒「ともす(点)」の語誌

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

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