灯心(読み)とうしん

精選版 日本国語大辞典 「灯心」の意味・読み・例文・類語

とう‐しん【灯心】

〘名〙
① あんどん・ランプなどの心(しん)灯油にひたして火をともすのに用いる細い紐状のもの。多く細藺(ほそい)のなかごの白くて軽い髄や綿糸などを用いる。とうしみ。とうすみ。灯炷(とうしゅ)。〔十巻本和名抄(934頃)〕
太平記(14C後)五「御手づから百二十筋の燈心(トウシン)を束ね」 〔物類相感志‐雑著
一種堕胎薬。①に灰をひたして飲むと妊娠中絶ができると信じられた。
※雑俳・柳多留‐六(1771)「とうしんをたれに聞いたか嫁はのみ」

とう‐すみ【灯心】

〘名〙
① (「とうしみ」の変化した語) =とうしん(灯心)〔頓要集(14C後‐15C前)〕
② 藺(い)の茎の髄の称。〔重訂本草綱目啓蒙(1847)〕
③ 「とうすみとんぼ(灯心蜻蛉)」の略。《季・夏》
母子草(1949)〈富安風生〉「とうすみはとぶよりとまること多き」

とう‐しみ【灯心】

〘名〙 (「とうじみ」とも) =とうしん(灯心)〔十巻本和名抄(934頃)〕
徒然草(1331頃)二二一「祭の日の放免のつけ物に、ことやうなる紺の布四五反にて馬をつくりて、尾髪にはとうじみをして」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

デジタル大辞泉 「灯心」の意味・読み・例文・類語

とう‐しみ【灯心】

《「とうじみ」とも》「とうしん(灯心)」に同じ。
「髪は―を戴きたるやうにて」〈今昔・二九・二六〉

とう‐しん【灯心/灯芯】

行灯あんどん・ランプなどの芯。灯油に浸して火をともすひも状のもの。綿糸などをり合わせて作る。

とう‐すみ【灯心】

《「とうしみ」の音変化》「とうしん(灯心)」に同じ。

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「灯心」の意味・わかりやすい解説

灯心
とうしん

灯火の芯。灯火には初めは油を含ませたものを燃やしたが,のちに灯心を利用することが発明された。麻や綿の布を細かく裂いたものや糸を束ね,毛管現象を応用して油をしみこませて,その先端に点火する。また藺草 (いぐさ) を蒸し,そのなかごを取出して灯心に用いることもあり,このために藺草を灯心草ともいう。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

普及版 字通 「灯心」の読み・字形・画数・意味

【灯心】とうしん

灯芯。

字通「灯」の項目を見る

出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報

世界大百科事典(旧版)内の灯心の言及

【イグサ(藺草)】より

…イとも呼び,茎を畳表や花むしろの材料とするために栽培もするイグサ科の多年草(イラスト)。茎の髄を灯心として利用したところからトウシンソウの名もある。
[形状]
 1株に多数の細い茎が立つ。…

※「灯心」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

今日のキーワード

潮力発電

潮の干満の差の大きい所で、満潮時に蓄えた海水を干潮時に放流し、水力発電と同じ原理でタービンを回す発電方式。潮汐ちょうせき発電。...

潮力発電の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android