いわゆる目薬のこと。医薬品の溶液、懸濁液または医薬品を用時溶解もしくは懸濁して用いるもので、結膜嚢(のう)に適用する無菌に製した製剤。点眼液と洗眼液とがある。点眼剤には必須(ひっす)条件として、(1)細菌などによって汚染されていないこと、(2)涙液とできるだけ等張であること、(3)著しく酸性またはアルカリ性でないこと、(4)化学的に安定で分解しにくいこと、(5)異物を含まないこと、があげられる。点眼剤では目にしみないこともたいせつな条件である。瞳孔(どうこう)をあける散瞳剤、縮める縮瞳剤、白内障・緑内障の治療薬、ビタミン剤、抗炎症剤、抗生物質、化学療法剤、そして最近ではβ(ベータ)遮断薬の点眼剤が眼圧低下の目的で使用されている。そのほか人工涙液、コンタクトレンズ用点眼剤などがある。点眼剤の溶剤には滅菌精製水が用いられるが、このほか油性点眼剤には滅菌植物油が使用される。テトラサイクリン油性点眼液がその例である。また、コルチゾン点眼液のように懸濁剤もある。容器はほとんどがプラスチックである。微生物汚染を防ぐため、容器が目に直接触れないように点眼する必要がある。
[幸保文治]
…いずれも速効性である。目に用いられる製剤は,点眼剤と眼軟膏剤で,角膜,粘膜に適用する。注射剤,点眼剤,眼軟膏剤はいずれも無菌的に製剤する。…
…眼病の治療などに用いられる薬。目薬には点眼剤eye drops,洗眼剤eye lotion(wash),眼軟膏eye ointmentがあり,いずれも無菌製剤である。体の中でもとくに鋭敏な眼の粘膜や角膜に適用されるものであり,またこの部位は細菌感染を受けやすいため調製や保存,滅菌には十分な考慮が必要である。…
※「点眼剤」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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