散瞳薬(読み)さんどうやく

精選版 日本国語大辞典 「散瞳薬」の意味・読み・例文・類語

さんどう‐やく【散瞳薬】

  1. 〘 名詞 〙 瞳孔を異常に大きくさせる作用のある薬剤白内障手術眼底検査などに用いる。アトロピンスコポラミンなど。
    1. [初出の実例]「散瞳薬の瓶を取り上げ、患者の両眼に二三滴ずつ、アトロピンを点じた」(出典:痴人の復讐(1925)〈小酒井不木〉)

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「散瞳薬」の意味・わかりやすい解説

散瞳薬
さんどうやく

瞳孔を散大させる薬剤で、眼底検査などの場合によく用いられる。瞳孔の調節は、交感神経の支配する散大筋と、副交感神経動眼神経)の支配する括約筋によってなされ、散瞳は、散大筋に達する交感神経の興奮あるいは副交感神経の中枢性および末梢(まっしょう)性の麻痺(まひ)によっておこる。交感神経の興奮によるものとして塩酸フェニレフリン点眼液(5%液)があり、副交感神経の抑制によるものとして臭化水素酸ホマトロピン(0.5~2%液)、硫酸アトロピン(0.5~1%液、1%眼軟膏(なんこう))、トロピカミド(「ミドリンP」「ミドリンM」)、塩酸シクロペントレート(「サイプレジン」点眼液1%)などがある。

[幸保文治]

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