病院でもらった薬がわかる 薬の手引き 電子改訂版 「外用剤」の解説
外用剤
外用剤は、皮膚や粘膜など体の表面に用いるもので、坐剤、
外用剤の長所としては、患部に直接作用するので効果が確実で速い、誰にでも使用できる、価格が安い、大きな副作用がなく、副作用がおきても発見しやすく処置がしやすいといった点があげられます。
しかし、皮膚・粘膜だけと応用範囲が狭く使用が限られている、注射剤や内服剤に比べて効力が弱い、外観の見ばえが悪いといった欠点もあります。
以下に、外用剤のさまざまな剤型について、その特徴・使用法を解説します。
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外用液剤は、皮膚や粘膜(
■うがい薬 口の中やのどを洗う薬で、
●うがい薬のじょうずな使用法
①指示量を約コップ1杯の水に溶かしてよく混ぜ、口に十分に含んで2~3回うがいをする。指示通りの濃度に薄めないと、濃すぎて粘膜を刺激し、炎症などをおこしたり、薄くて効果がなくなることもある。
②飲み込むと有害なものもあるので、うがいがすんだら全部吐き出す。乳幼児では、飲み込んでしまう危険があるので、手の届かない場所に保管し、使わせない。
③水で薄めなくてもそのまま使えるうがい薬は、滅菌処理されたものなので、使用後はしっかりと
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抗アレルギー剤、抗生物質、
●噴霧剤・エアゾール剤のじょうずな使用法
①容器を振って中の薬をよく混ぜ、十分に息を吐き出した後、吸入口を深く口にくわえ、息を吸い込むと同時に噴霧する。このとき薬が目に入らないように注意する。
②皮膚に使用するときは、患部より4~6㎝離してスプレーする。
③過量に吸入すると副作用をおこしやすくなるので、吸入する量は指示を厳守する。
④引火しやすい薬もあり、使用中はたばこの火などを近づけない。また、直射日光の当たる場所や火気の近くには保管しない。
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●浣腸剤のじょうずな使用法
①体温に近い温度(35~36度C)に温めてから用いると、効果が速く現れる。
②便秘のたびに使うと、自然な排便ができなくなることもあるので、乱用はつつしむ。
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●塗布剤のじょうずな使用法
①皮膚に塗るときは、患部をよくふく。前に塗った薬があれば、よくふきとる。
②口の中に塗るときには、塗る前にうがいをする。
③皮膚に塗った後は、上からガーゼを当て、
④塗り替えは指示通りにする。ひんぱんに用いると、刺激で皮膚炎がおこったりする。
⑤子どもの手の届かない、しかも光の当たらない場所に保管する。
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●点鼻剤のじょうずな使用法
①まず、手をよく洗う。枕などを肩の下に当ててあお向けに寝て頭をそらして鼻腔を上に向け、薬を2~3滴したたらせる(滴下)か、2~3回噴霧する。乳幼児には噴霧は無理なので、滴下で用いるようにする。
②鼻腔内に薬をよくいきわたらせるため、滴下・噴霧後は、2~3分そのままの姿勢で寝ているようにする。
③使いすぎると鼻の粘膜が
④容器の口が鼻に触れないように使用する。
⑤日光の当たらない、湿気のないところに保管し、使用期限が過ぎたものは使用しない。
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●点耳剤のじょうずな使用法
①まず、手をよく洗う。頭を横に傾けるか横向きに寝て、耳の
②容器の口が直接耳に触れないようにする。
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●点眼剤のじょうずな使用法
①点眼前に手をよく洗い、容器を振って中の薬液を混ぜる。下まぶたを引っ張り、2滴点眼して目を閉じ、まばたきをしないで1~2分間そのままでいる。薬が十分目に入らなかったときは、もう1回点眼する。
②乱用すると副作用がおこりやすくなるので、指示された回数以上の点眼はしない。
③点眼するとき、容器の口が直接まぶたなどに触れないようにする。
④使用後はふたをしっかり閉め、冷蔵庫などの冷所に保存する。ただし、冷蔵庫から出してすぐに点眼すると、目に対する刺激が強すぎるため、しばらくおいてから点眼すること。
⑤使用期限を過ぎた点眼剤は廃棄する。
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貼付剤は、皮膚に
貼付剤には、患部に密着して効果がよい、効果が長くつづく、使用法が簡単で一定の効果が得られるといったメリットがあります。
また、形も、板状にしたもの、ガーゼや合成樹脂フィルムにしみこませたものなどいろいろなものがあり、病状によって使い分けられています。
抗炎症剤、鎮痛剤、発赤剤、血管拡張剤、副腎皮質ホルモン剤などを含むものがあり、病気によって使い分けられます。
貼付剤は従来、
●貼付剤のじょうずな使用法
①使用前に、布でふくなどして皮膚をよく乾燥させておく。
②毛の生えている部位に用いる場合には、毛をそってから貼る。また、関節などの屈曲部に貼るときは、付着剤のまわりにハサミを入れておくと密着しやすくなる。
③しわがよらないようにぴったりと貼る。
④かぶれやすい人や乳幼児の場合は、患部の上にガーゼを1枚当て、その上から貼り、包帯で留めるようにするとかぶれが防げる。
⑤1日1~2回貼り替えること。
⑥使用後、皮膚に薬が残ったときは、水かお湯でふき取る。
⑦変質しやすいので、開封後は光の当たらない低温のところに保管し、1か月以上たったものは使用しない。
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軟膏剤は、適当な粘度(伸び具合)をもった練り薬で、皮膚や粘膜に塗って用います。従来の軟膏剤は皮膚表面の病気にだけ使用されていましたが、最近は、皮膚や粘膜を通して血管に吸収されるはたらきをもつ吸収促進剤の研究が進み、全身性の病気にも効く軟膏剤が数多く開発されて、応用範囲が広まってきました。
軟膏剤は、つくる原料によって、
口内炎などの口の中の病気に用いる軟膏剤もあります。これは、カルボキシセルローズなどを加えて粘膜によく密着するようにつくられた薬です。また、目の病気に用いる
●軟膏剤のじょうずな使用法
①使用回数は1日2~3回にとどめ、期間も指示された日数を守ること。
②軟膏の使用法には、単純に塗る方法、ガーゼやリント布に塗ってから貼る方法、塗った上からラップで包む方法などがある。これはよりよい効果をあげるためなので、指示を守り、かってに変えない。
③過敏症状(かゆみ、発赤など)が現れたときは、使用を中止し、医師に相談する。
④軟膏剤は使用中の保管が不備だと、固まったり、変色して、皮膚の刺激をおこす場合がある。
そのため、ふたをしっかり閉めて冷暗所に保管し、使用期限の過ぎたものは使わない。
⑤眼軟膏を使用するときは、まず手をよく洗ってから、下まぶたを下方に引き、眼球を上方に向けて、チューブから少しずつ(細く線状に3分の1から2分の1㎝くらいの長さ)出して、まぶたの内側に細長く入れる。そのときチューブの先がまぶたや指先に触れないようにする。塗り終わったら、まぶたを閉じて軽くマッサージする。
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■坐剤(坐薬) 肛門に挿入して使う薬で、抗炎症剤、解熱鎮痛剤、抗生物質などを含んだものがあります。同じ薬を内服するよりも副作用が現れにくく、効果も変わらないので、内服剤の代わりとして各種の病気の治療に使われています。
●坐剤のじょうずな使用法
①まず手をよく洗ってから坐剤を取り出し、ティッシュペーパーなどで坐剤の底をつまみ、
②挿入後は、しばらく肛門を手で押さえておき、20~30分は歩行などの運動はひかえ、静かに寝ているようにする。
③便意があるときは使用しない。
④30度C以下の冷所に保管する。
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出典 病院でもらった薬がわかる 薬の手引き 電子改訂版病院でもらった薬がわかる 薬の手引き 電子改訂版について 情報