無線通信を使ってデータをやりとりする通信網。代表的なのは「Wi―Fi(ワイファイ)」。総務省が約1万5千世帯を対象にした調査では、2013年末の家庭内無線LANの利用状況は54・4%。パソコンやスマートフォンなどで利用でき、不特定多数が使える公衆無線LANには有料と無料のものがある。
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限られた範囲内で形成されたデータ通信網をLAN(local area network)といい、このうち、コンピュータ間をケーブルでつなぐのではなく、無線または赤外線を利用してつないだLANのこと。ケーブルを使用しないため、従来では使用できなかった場所、あるいは携帯型コンピュータなどの移動体でも利用できる。
無線LANは、ケーブルからの解放、敷設が簡単、接続機器のレイアウトが自由、一時的な使用に便利で移動は容易、長期的には架線・敷設・維持への配慮が不要なため安価につくなどの利点があるが、伝送速度は一般に有線LAN(毎秒100メガビット以上)に比べて遅く、無線にとっては劣悪な環境である屋内ではデータの転送が困難になるなどの欠点がある。無線LANの基地局には固定局、半固定局、移動局があり、典型的な移動局の移動速度は歩行速度(毎秒2メートル)から搬送車速度(毎秒10メートル以下)、1局のカバー範囲は見通し内到達距離100メートル以下であるが、高速伝送になると20メートル以上離れると困難となる。
無線LANの規格としてはIEEE802.11が広く使用されており、周波数帯域や伝送速度の違いによりa、b、g、nなどの種類がある。そのうち、無線LAN製品の相互接続を検証するために設立された団体であるWi-Fi Alliance(ワイファイアライアンス)による相互接続性が認証されたものは「Wi-Fi」とよばれる。既存の有線LANと互換性がとれるように、インターフェース(接続装置)を共通化したものや、標準的なネットワークOS(オペレーティングシステム、基本ソフト)に対するドライバー(ソフトを動かすもの)を提供するものがあり、有線LANへのブリッジ(中継器)も製品化されている。なお、通信範囲の違いにより、パーソナルな領域の無線PAN(パン)(personal area network)、メトロポリス(大都市)内をブロードバンドで結ぶ無線MAM(metropolitan area network)、さらに広域の国単位にもおよぶ無線WAN(ワン)(wide area network)がある。
[岩田倫典]
(斎藤幾郎 ライター / 西田宗千佳 フリージャーナリスト / 2008年)
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