メトロポリス(その他表記)metropolis

翻訳|metropolis

デジタル大辞泉 「メトロポリス」の意味・読み・例文・類語

メトロポリス(metropolis)

首都。首府。また、大都市

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精選版 日本国語大辞典 「メトロポリス」の意味・読み・例文・類語

メトロポリス

  1. 〘 名詞 〙 ( [英語] metropolis ) 首府。また、大都市、主要都市。〔アルス新語辞典(1930)〕

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改訂新版 世界大百科事典 「メトロポリス」の意味・わかりやすい解説

メトロポリス
metropolis

各種の都市的機能が広い地域を支配し,その下部に多くの中小都市を従属させているような都市をいう。広域中心都市,国家都市,世界都市などとも呼ばれ,また規模の大きいことから巨大都市などと呼ぶことも多い。都市の規模(人口集積)が大きくなると,都市内部では地域分化が明瞭になり,都市部の夜間人口は著しく減少し,昼間人口が増大する。その昼間人口を供給するのは都市周辺部の住宅地区と都市の外側にある近郊地帯や衛星都市である。都市の外縁地域で都市の影響の及ぶ範囲あるいは中心都市の活動を支えている地域,すなわちメトロポリスとその支配領域をメトロポリタンリージョン(大都市地域)とかメトロポリタンエリア(大都市圏)と呼ぶ。またメトロポリスの都市化が進み,都市圏内の結合関係が強化され,都市圏が拡大することを大都市地域化(メトロポリタニゼーション)と呼んでいる。

 基盤地域の人口密度にもよるが,大都市の規模は人口10万程度から数百万までと幅が広い。さらにそれらの大都市圏となると大きなものは1000万人以上にも達し,50kmから100kmの半径をもつようになる。都市内部が機能地域に分化しているのと同様に,大都市圏内部にも階層構造や地域分化が認められる。巨大都市の都市圏内部には多くの都市が星雲状に存在し,それぞれがまた一つ一つの都市圏を形成し,その構造は複雑になる。集心,集心的離心の現象はこのような所で典型的にみられる。

 中心の大都市の都市化の進展により大都市圏の拡大・高密度化が進む。日本では東京大都市圏,大阪大都市圏,名古屋大都市圏が国家中心で,札幌,仙台,広島,福岡の諸大都市圏は広域中心となり,明瞭な階層性を示している。これは中心になる大都市のもつ中枢機能の性格によっている。
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メトロポリス
Metropolis

1926年製作のドイツ映画。フリッツ・ラング監督作品。1924年にアメリカを訪れたラングが,ニューヨーク港の船上からマンハッタン摩天楼を望見してアイデアを得たという21世紀の未来都市の物語である。700万マルクともいわれるドイツ映画空前の巨費を投じ,2年がかりで完成された4時間を超える超大作で,撮影所のステージのなかに摩天楼や地下工場などを設計したオットー・フンテの表現主義的なセットの造型技術と,レンズのわきに鏡を備えつけてミニチュアを拡大し,実物とセットを合成したオイゲン・シュフタンの特殊撮影技術(〈シュフタン・プロセス〉と呼ばれた)が評判になったが,最後に独占資本家と労働者の代表が和解して握手するという労資協調をうたう主題は,〈図式的なスペクタクル〉〈映画技法的には比類なき成功作だが人間的見地からは恐るべき無知を暴露した駄作〉(ジークフリート・クラカウアー)と批判された。イギリスとアメリカでは5巻分がカットされたプリントが公開され,H.G.ウェルズは〈愚劣きわまる〉と酷評している(それに対し,コナン・ドイルはこの映画に熱狂したと伝えられる)。ドイツで封切られた当時,田舎町でこの映画を見たヒトラーゲッベルスは,ナチが政権をとったらラングに〈ナチス映画〉をつくらせたいと話しあったという話も伝えられている。ラング自身は後年,失敗作であったことを認めている。なお,70年代に入って〈アメリカ版〉が,電子音楽のサウンド・トラック入りで,おりからのSF映画ブームに乗って再公開された。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「メトロポリス」の意味・わかりやすい解説

メトロポリス
めとろぽりす
metropolis

もとギリシア語で植民者の母都市・母国を意味したものが、政治・宗教・商業などなんらかの点で地域の中核となっている都市、さらにはロンドン、ニューヨーク、東京のように最大級の巨大都市をいうようになった。しかしアメリカではかならずしも巨大都市のみでなく人口5万程度の中小都市をいう場合もあり、メトロポリスの規模は一定したものではないが、一国または一地方の首都ないし機能的中心都市を意味することは確かである。大都市地域が連接した巨帯都市を意味するメガロポリスとは機能的にも規模としても異なる。

[高野史男]

『木内信蔵他編『講座都市と国土(1)大都市地域』(1971・鹿島出版会)』『阿部和俊著『日本の都市体系研究』(1991・地人書房)』

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百科事典マイペディア 「メトロポリス」の意味・わかりやすい解説

メトロポリス

周辺の都市を機能的に統合することで出現する巨大都市のこと。人口が多いだけではなく,さまざまな都市機能を集約させた中枢的な都市を指している。日本では東京がその典型だが,他地域においてもそれぞれに中核的な役割を果たすメトロポリスが成立している。夜間人口のきわめて少ない都市部(メトロポリタン・エリア)の膨大な昼間人口は,周辺の居住地域となる衛星都市が供給するが,この地域は通勤のみならず,通学や購買行動などを通じて都市部の経済的・社会的支配下におかれる。複数のメトロポリスが成長し合い,相互に連携することでメガロポリスが形成され,さらに東京のような世界都市を出現させる,とされる。
→関連項目都市

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「メトロポリス」の意味・わかりやすい解説

メトロポリス
metropolis

政治,経済,情報などの諸機能を統轄する巨大都市をいう。日本においては東京がその典型である。現代の巨大都市の形態は,交通・通信機関の発達により,土地利用における地区の分化をもたらし,高度の分業体系を整えながら,全体として経済的,社会的核をなしている。また工業化に伴い生産と消費にわたって農村の余剰人口を吸収し,ますます人口の都市集中を促進するため,市町村の行政の枠をこえて広くかつ複合的な都市形態をなすにいたり,さらにその周辺に衛星都市を有機的に統合していく。このメトロポリスが相互に帯状に構成されたものがメガロポリスである。

メトロポリス
Metropolis

ドイツ映画。ウーファ 1926年作品。監督フリッツ・ラング。脚本フリッツ・ラング,ティア・フォン・ハルボラ。極度に機械化された未来社会を舞台に,奴隷状態にあった労働者が反乱を起こし,安逸をむさぼっていた資本家が目をさますまでを描いた初期 SF映画の傑作。様式的な構図,怪奇的なセット,ミニチュアを活用した特殊撮影が,造形的で力動感に富む空間を現出させている。

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デジタル大辞泉プラス 「メトロポリス」の解説

メトロポリス〔漫画〕

手塚治虫による漫画作品。近未来の巨大都市メトロポリスを舞台に繰り広げられる、人間とロボットの愛と戦いを描く。描き下ろし作品。育英出版から1949年に全1巻で刊行された。2001年りんたろう監督による劇場用アニメが公開された。

メトロポリス〔映画〕

1926年製作のドイツ映画。原題《Metropolis》。21世紀の未来世界を描き、その後の作品の多くの影響を及ぼしたSF映画の金字塔。監督:フリッツ・ラング、出演:ブリギッテ・ヘルムほか。

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世界大百科事典(旧版)内のメトロポリスの言及

【SF映画】より

… 第1次世界大戦直後の19年,ドイツ表現主義映画の最初の傑作として名高いR.ウィーネ監督の《カリガリ博士》が,マッド・サイエンティスト(狂った科学者),その実験から生まれた怪物,怪物に襲われる美女という〈怪奇映画〉のパターンを創造した。さらに,フリッツ・ラング監督の《メトロポリス》(1926)は,表現派というよりも初の本格的SFスペクタクルであり,ロボットを作る実験室のエピソードや,バベルの塔建設の幻想などを,〈シュフタン・プロセス〉による特殊効果を駆使して描いた壮大な作品だが,興行的な失敗から製作会社のウーファを破産寸前に追い込んだ。当時これを見て愚の骨頂とこきおろしたウェルズは,それから10年後,〈ロボット労働者や超高層建築といったがらくたのイメージを払拭(ふつしよく)した真の未来映画〉の範を示すべく,自作の小説《来るべき世界Things to Come》(1933)をみずから脚色し,W.C.メンジース(1896‐1957)が監督して,SF映画史に残る作品となったが,これまた興行的には敗退した。…

【地下鉄道】より

…その後ヨーロッパの諸都市の地下鉄が同じ名称(略して〈メトロ〉)を採用したため,いつか〈メトロ〉とは〈地下〉を意味するように誤り伝えられてしまった。フリッツ・ラング監督によるドイツのSF映画《メトロポリス》(1927)が,地上と地下の都市の階級的対立を映像化し,この傾向はますます強まった。本来地下室とは,個人の家の酒蔵や物置にせよ,城の牢獄にせよ,上にある建物の付属私有空間であり,縦方向の行き来はできても,地下室相互の横の交通は不可能(秘密通路によって可能となるごくまれな場合を除いて)なはずであった。…

※「メトロポリス」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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