LAN(読み)らん

日本大百科全書(ニッポニカ) 「LAN」の意味・わかりやすい解説

LAN
らん

local area networkの略。同一敷地内とか、同一建造物内などの局限された範囲内におけるデータ通信網のこと。略さずにローカルエリアネットワークともよばれる。

 通信の相手が不特定多数である公衆通信回線の場合と異なり、回線制御を簡略化することができる。そのため、低価格で伝送速度が速く、信頼性の高いデータ通信網を構築することができる。オフィスオートメーションにおいては、各種の情報機器を連係し、共同利用を容易にしなければならないが、そのためにはLANが最適であり、急速に普及した。家庭内でLANを組むケースも増えている。

 LANの代表的な構成は、1本の大きな伝送容量をもったデータバスまたはこれをリング状にしたデータウェー随所に、ノードタップともいう)を設け、これに各種の情報機器、たとえば大型コンピュータパーソナルコンピュータワークステーションファイルサーバー磁気ディスク主体とする)、プリンター、ビデオ装置などの装置を接続したものである。さらに、このノードに伝送制御装置を接続して公衆回線を経由し、ほかのコンピュータとつないだり、このノードをパケット経路制御を行うルーターとしてほかのLANに直接つなぐことができる。LANは、容易に各種の情報機器を接続して、機器どうしの間で文書やメッセージの交換をしたり、大容量のファイルを共用したりすることを目的としている。

 LANの実体は、高性能の伝送ケーブルと、簡単な伝送制御装置、それにデータの交信を制御するプロトコル、およびそのプロトコルを解読して制御を実行するソフトウェアからなるといってよく、通信機メーカーやコンピュータメーカーから、その構成要素をセットにしたLANシステムが商品化されている。LANの伝送ケーブルは、データ通信に用いられるものと原理的に同じであり、ツイストペア線、同軸ケーブル、伝送容量の大きい光ファイバーなどがあって、費用と性能を決める大きな要因となっている。ネットワークの接続方法も、樹枝状、メッシュ状などいろいろあるが、1本の幹線をもつバス型と、それを環状にしたループ型が多い。このネットワーク上に送り出される信号を多重化する方法、ノード間の情報交換の方法と回線サービスの割当て方法、ノードと情報機器の接続方法、その他いろいろな方式の組合せがあるので、LANの選定は、ユーザーの利用目的に適合したものを決めなくてはならない。

[小野勝章・山本喜一]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「LAN」の意味・わかりやすい解説

LAN
ラン

ローカルエリアネットワーク local area networkの略。構内情報通信網などと訳す。建物や敷地内などの比較的狭い地域内で同軸ケーブル光ファイバなどを使って,分散設置されたコンピュータ,ファクシミリ,プリンタ,サーバなどの機器を相互に結合すること。コンピュータ資源の共用や,負荷分散,信頼性向上のための手段を提供することが目的。プロバイダーを通じてWANに接続することで,より大きなネットワークに参加することもできる。また,無線方式でネットワークをつなぐ無線 LANは配線工事が不要で簡単に設置できるため,各社から機能内蔵のルータが広く発売されている。世界的な標準規格は,アメリカ電気電子技術者協会 IEEEが定めた IEEE802.11。近年は通信の自由化によって,公衆通信の手段としても見直されている。

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