熱帯地方に発生する大気の擾乱をいう。一般に大気の定常状態からの乱れを擾乱とよぶ。擾乱が波状を呈する場合、これを波動擾乱という。気象学では漠然と用いられることが多く、たとえば、概して規模の小さい低気圧そのもの、低気圧性発達が期待される領域、あるいは雲や降水性の天気と関係する大気の流れなどをさす。熱帯擾乱の多くは波動擾乱として知られ、その代表的なものとして、熱帯低気圧の温床とみられる偏東風波動(イースタリ・ウェーブ)がある。これは、低緯度地方に卓越する偏東風帯の中を西進する波動擾乱である。気圧の弱い谷として認められ、これが不安定化し渦(うず)状となり、さらに台風にまで発達する。このほか、非常に波長の長い波(超長波)として、赤道地方の対流圏上部から成層圏下部を西進するいくつかの波がある。これら波の存在は1966年に松野太郎(1934― )によって理論的に予言されたが、そのなかで柳井‐丸山波(1966)やウォレス‐カウスキー波(1968)とよばれる波は発見者の名にちなんだ実在の波である。柳井‐丸山波は、コリオリ・パラメーターの緯度変化を復元力とする波と浮力を復元力とする波の性質を共有する波(混合ロスビー波)として、またウォレス‐カウスキー波は、赤道を岸になぞらえたケルビン波(海洋学の沿岸波)として解釈されているが、定説を得るに至っていない。また、赤道地方の成層圏には約2年の周期で偏西風と偏東風が交互に現れる振動があり、準2年周期振動Quasi-Biennial Oscillation(QBO)とよばれている。この振動は1966年にリードRichard ReedとエブドンR. A. Ebdonが独立に発見したが、その成因も定説を得るに至っていない。しかし、1990年代になってQBOは前述の波や中高緯度の成層圏の循環と相互に関係があるのではないかと注目されている。
[股野宏志]
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