片浦村(読み)かたうらむら

日本歴史地名大系 「片浦村」の解説

片浦村
かたうらむら

[現在地名]笠沙町片浦

現笠沙町の北西部に位置し、東は赤生木あこうぎ村。南に野間のま(五九一・一メートル)がそびえ、北と西は海に面する。上村かみむら小浦こうら椎木しいのき仁王崎におうざき・片浦・大当おおと高崎山こうざきやま集落があり、小浦・片浦は村内の浦でもあった。村の東端近くに深い湾入がみられる。中世加世田別符のうちに含まれる。永和元年(一三七五)一〇月一日などの加世田別符半分坪付注文(島津家文書)に「のまかた(う)ら」とみえる。「のま」は野間の意。同坪付注文は伊作島津氏の所領を書上げたものと思われ、康永二年(一三四三)三月二六日に伊作宗久が足利尊氏より領知を認められた加世田別符半分にあたると考えられる(「足利尊氏下文」同文書)。しかし平安時代以来の加世田別符の領主別府氏はなお健在で、伊作氏の支配は名目的なものにすぎなかった。当地には漂着船が多かったようで、隆慶三年(一五六九)の琉球の年貢・貢物運搬船や(同年一月一一日「琉球国三司官書状」旧記雑録)、天正一七年(一五八九)と推測される黒船(スペイン船)の例が知られる(年欠八月二七日「豊臣秀吉朱印状」島津家文書)

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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