牧山(読み)まきやま

日本歴史地名大系 「牧山」の解説

牧山
まきやま

みなと地区の北東方、街区の背後にそばだつ丘陵状山塊で、標高二一八・九メートル。地元では「おまぎやま」とよぶ。山頂一帯は杉や樅の老樹が生茂り、雄大な海と山の眺望が開け、古くから由緒ある社寺の霊地となってきた。山頂に式内社の零羊崎ひつじさき神社が鎮座し、「封内風土記」によれば、今は白山神社というとして、西国より湊村の龍旋たつまき(龍巻山)に遷座し、石龍を祀り龍頭社と称したため、山を石巻山とよび、これが牧山になったと記している。


牧山
まきやま

横居木よこいぎ村と大河内おおかわち(現芦北町)の境のかさ(五六七メートル)近世熊本藩の馬牧が置かれ、笠山と馬牧を併せて牧山と称した。「国誌」に「何レノ村ト云コト不分明、大河内横居木其外諸村ニ係ル、広河原大窪花立ト云三箇所ニ育ス、近年大窪ニハ牧馬不居ト云、慶長ノ比田浦ノ農民武蔵ト云モノ野飼ノ馬五六十疋ヲ仕立、清正侯ニ献ス、依テ自ラ此処ヲ巡覧アリシトナリ、此牧馬古来百ニ不充(中略)中比迄ハ山中ニ牧馬営アリ、然レトモ寒暑山野ニ居ラサレハ、馬弱キ故ニ八十年前天和貞享ノ比ナルヘシニ営ハ止ム、今年ヨリ営ヲ設ク、取駒ハ毎歳四月初申日大河内村ニ牽出ス、此日山中ニ貴賤緇素老若集リテ見物市ヲ為ス」とある。


牧山
まきやま

現戸畑区の西端部に位置する。標高七五・四メートル。近世には戸畑村と枝光えだみつ(現八幡東区)の境にある入海(洞海湾)に面した東西二〇〇間・南北三〇〇間ほどの松山で、古くは馬牧が設けられていたといわれる(続風土記・続風土記拾遺・地理全誌)。地元では梶原景季が源頼朝から拝領した名馬磨墨は当牧山の産との伝承も残る。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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