特定不妊治療費助成事業(読み)とくていふにんちりょうひじょせいじぎょう

日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

特定不妊治療費助成事業
とくていふにんちりょうひじょせいじぎょう

健康保険の適用外である体外受精および顕微授精(特定不妊治療)の費用の一部を助成する公的事業。少子化対策の一環として、「次世代育成支援対策推進法」(平成15年法律第120号)の施行に伴い、政府が2004年度(平成16)から始めた。助成限度額は1回あたり15万円で、採卵を伴わない治療や採卵したが卵が得られず中止した場合については1回あたり7万5000円。いずれも国と地方公共団体が半額ずつ負担する。対象は体外受精および顕微授精以外の方法では妊娠の見込みがないか、きわめて少ないと医師に診断された法律上の夫婦。所得制限(夫婦合算の年間所得が730万円以下)があり、高額所得世帯は受けられない。全国に500以上ある指定医療機関で受診することができる。事業主体は都道府県、政令指定都市、中核市である。特定不妊治療費助成事業を受ける人は毎年増え続けており、2012年度の助成件数は約13万5000件であった。なかには妻の年齢が妊娠確率の低い45歳以上のケースもあり、自治体の財政圧迫要因となっている。このため厚生労働省は通算5年の間、毎年2回(合計10回)まで年齢制限なしに受けられるとしてきた制度を改め、2014年度から年間の回数制限を撤廃し、初めて助成を受ける際の治療開始時の妻の年齢が39歳以下の場合は通算6回まで、40歳以上の場合は通算3回まで助成を受けられるように変更した。2016年度からは助成対象を42歳以下に制限する。日本産科婦人科学会の2012年調査では、体外受精の妊娠率は26~34歳では約25%であるが、40歳で15%以下、43歳で5%まで低下する。
 体外受精や顕微授精は経済的負担が重く、通常、体外受精で1回あたり30万~50万円、顕微授精も同50万~80万円の費用がかかる。このため1998年度に岐阜県福岡町(現、中津川市)が、2000年度に石川県川北町、愛知県師勝(しかつ)町と熊本県白水(はくすい)村が独自助成を始め、各地の自治体へ広がり、その後、厚生労働省が予算要求して全国事業となった。独自の上乗せ支援制度をもつ自治体もあり、たとえば東京都港区は特定不妊治療について単年度当り30万円まで助成している。また、2014年以降、福井県、大分県、三重県や東京都文京区などは男性の不妊治療や不妊検査に助成する事業を始めている。[矢野 武]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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