六訂版 家庭医学大全科 の解説
特発性副甲状腺機能低下症
とくはつせいふくこうじょうせんきのうていかしょう
Idiopathic hypoparathyroidism
(子どもの病気)
どんな病気か
副甲状腺ホルモン(PTH)の生成の低下のために低カルシウム血症、高リン血症を来すものです。
原因は何か
特発性とは原因不明を意味しますが、近年研究が進み、以前では不明だったいくつかの原因が明らかになりました。
①免疫異常(HAM症候群、AIRE遺伝子異常)、②奇形症候群に伴う副甲状腺の臓器発生の異常(
原因が明らかになったものは特発性から除外され、原因不明のもの(自己免疫疾患に合併するものを含む)が特発性と呼ばれます。
症状の現れ方
低カルシウム血症の症状として、しびれ感、テタニー(手指の不随意な筋収縮)、けいれん(すべての形)、喉頭けいれん・気管支けいれん、
検査と診断
血液検査で低カルシウム血症(血清補正値8.5㎎/㎗未満)、高リン血症(4.5㎎/㎗以上)があり、インタクトPTHが30pg/ml以下なら特発性が考えられ、30pg/ml以上なら
低カルシウム血症の検査所見としては、クボステック徴候(
検査と診断
テタニーやけいれんを起こしている時には、カルシウム製剤(カルチコール)を静脈注射により投与します。明らかな症状がなければ、活性型ビタミンD製剤のアルファカルシドール(アルファロール、1~4㎍/日)やカルシトリオール(ロカルトロール、0.5~2㎍/日)の内服を行います。活性型ビタミンDにより高カルシウム尿症による尿路結石を来しやすいので、尿中カルシウム/クレアチニン比の定期的検査が必要です。
病気に気づいたらどうする
関連項目
杉原 茂孝
出典 法研「六訂版 家庭医学大全科」六訂版 家庭医学大全科について 情報