O脚(読み)おーきゃく

日本大百科全書(ニッポニカ) 「O脚」の意味・わかりやすい解説

O脚
おーきゃく

膝(ひざ)を頂点として下肢が外方へ凸に彎曲(わんきょく)したものを内反膝(ないはんしつ)といい、両側性の場合をO脚とよぶ。俗に「がにまた」とよばれる。O脚は内反膝とともに大腿(だいたい)内反と下腿内反が存在し、下肢全体が外方へ凸に彎曲していることが多い。生後1年くらいまでは生理的に軽度のO脚であるが、高度のものは病的である。なお、両側性の外反膝X脚とよぶ。

 O脚は、くる病、骨軟化症先天梅毒などでもおこるが少なく、おもに下肢の発育に比べて体重が過重な幼児に多く、下肢の発育が十分でない乳児を無理に起立させることも一原因となる。起立姿勢をとったときに両膝がくっつかず、歩くと上体が左右に大きく揺れるので気づく。徒手あるいは装具による矯正で治癒する可能性があるが、年長児になると矯正手術が必要である。高年者の変形性膝関節(しつかんせつ)症ではO脚を合併することがしばしばあり、膝関節痛が頑固で手術的治療を要することがある。そのほか、内反膝は膝部の外傷炎症などの疾患の後遺症としてみられることもあり、原因疾患の治療を要する。

[永井 隆]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「O脚」の意味・わかりやすい解説

O脚
オーきゃく
bowleg; O-bein; genu varum

内反膝ともいう。足をそろえて立った場合に両膝関節の間が開くものをいう。俗に「がにまた」などという。これに対して,膝から下が外に開き,膝を密着させても両くるぶしがつかないものはX脚 (外反膝) という。日本人では,生後1年ぐらいはO脚で,2~3歳頃からX脚となり,4~10歳で自然に正常に戻るという例が多い。生理的なO脚,X脚のほかに,以前は佝僂 (くる) 病などによるものが多かったが現在ではほとんど見られない。大半は姿勢からくるものと考えられている。両膝やくるぶしの間に指が,O脚で2本以上,X脚で3本以上入るようならば,装具をつけて矯正する。

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