犬来牧(読み)いぬぐのまき

日本歴史地名大系 「犬来牧」の解説

犬来牧
いぬぐのまき

現西郷町の島後どうご東海岸に面する犬来地域に設けられていた古代末―中世の牧。のち耕地開発に伴って犬来または犬来郷と称した。「吾妻鏡」文治四年(一一八八)一一月二二日条に引用する同二三日の源頼朝下文に宇賀うか(現西ノ島町)とともにみえ、一一世紀末の平正盛の隠岐国司補任、とくに天仁元年(一一〇八)の源義親の反乱鎮圧後、隠岐島をその勢力下に置いた平氏の手で設定された牧と考えられ、主として軍事用の馬の飼育・放牧などに用いられたと推定される。平家の没落後、平家没官領の一つとして、源頼朝から源頼政の婿藤原重頼にその預所職が与えられたが、重頼が本来の牧の領域を超えて勢力を拡大しようとしたところから国衙との対立が生じ、両牧以外の重頼の知行を停止するという裁定に至った。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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