デジタル大辞泉 「玄上」の意味・読み・例文・類語 げんじょう〔ゲンジヤウ〕【玄上/玄象】 《「げんしょう」とも》平安時代の皇室御物の琵琶の名器。藤原貞敏さだとしが唐から持ち帰ったもので、比類のない宝器として尊重され、逸話に富む。[補説]曲名別項。→絃上 出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例 Sponserd by
精選版 日本国語大辞典 「玄上」の意味・読み・例文・類語 けんじょうケンジャウ【玄上・玄象】 ( 「げんじょう」「げんしょう」とも )[ 一 ] 琵琶の名器。九世紀中頃、遣唐留学生藤原貞敏が琵琶博士簾承武から譲り受けて帰朝し、以後歴代天皇の御物となったが、今は伝わらない。これにまつわる奇跡的伝説が多い。[初出の実例]「御前にさぶらふものは、御琴も御笛も、みなめづらしき名つきてぞある。玄しゃう、牧馬(ぼくば)、井手(ゐで)、渭橋(ゐけう)、無名など」(出典:枕草子(10C終)九三)[ 二 ] 謡曲。五番目物。各流。観世流では玄象、他流では絃上。金剛彌五郎作といわれる。琵琶の名人藤原師長(もろなが)が、中国に渡って琵琶の奥儀を学ぼうと考えている所へ、村上天皇と梨壺女御の霊が老夫婦の姿で現われ、琵琶と琴の名技を聞かせるので師長は渡唐を断念する。やがて老翁は村上天皇の姿を現わし琵琶の名器獅子丸を与える。曲中に玄象・青山の両名器の名が出てくる。玄上の補助注記( [ 一 ]について ) 名称の由来は、玄上宰相の献上によるとも、撥面に黒象の描かれていたことによるともいう(「江談抄‐三」「十訓抄‐一〇」)。 出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例 Sponserd by