王之渙(読み)オウシカン

デジタル大辞泉 「王之渙」の意味・読み・例文・類語

おう‐しかん〔ワウシクワン〕【王之渙】

[688~742]中国盛唐詩人あざなは季陵。辺塞へんさい詩に優れた。絶句の 「鸛鵲かんじゃく楼に登る」や「涼州詞」は有名。

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精選版 日本国語大辞典 「王之渙」の意味・読み・例文・類語

おう‐しかんワウシクヮン【王之渙】

  1. 中国、盛唐の詩人。山西の人。青年時代任侠を好み飲酒にふけったが、中年以後文学に励み名声をあげた。代表作「涼州詞」。(六八八‐七四二

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「王之渙」の意味・わかりやすい解説

王之渙
おうしかん
(688―742)

中国、盛唐の詩人。字(あざな)は季陵(きりょう)。并州(へいしゅう)(山西省太原(たいげん)市を中心とする一帯の地)の人とも、絳(こう)郡(山西省絳県)の人ともいわれる。地方官になったが、まもなく官を辞し、長い間在野の詩人として自由な生活を送った。晩年は河北省文安県の県尉として没したらしい。残る詩は少なく、『全唐詩』にわずか6首を残すのみであるが、王翰(おうかん)と並んで、当時の流行歌の歌詞作者として知られていた。彼が一首詩をつくると、楽工たちが争ってそれに曲をつけたという。

 「黄河遠く上(のぼ)る白雲の間」で始まる「涼州詞」(七言絶句)や、「白日山に依(よ)りて尽き」で始まる「鸛雀楼(かんじゃくろう)に登る」(五言絶句)の詩はとくに有名。「涼州詞」などは、当時の代表的な流行歌であった。

[鈴木修次]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「王之渙」の意味・わかりやすい解説

王之渙
おうしかん
Wang Zhi-huan

[生]垂拱4(688)?
[没]天宝1(742)?
中国,盛唐の詩人。絳郡 (山西省) の人。字,季陵。若い頃都で酒や剣の遊侠の生活をおくったが,のち学問を志し,詩名はあがったが科挙には合格できず,地方の小官として一生を終えた。王昌齢や高適らと肩を並べ辺塞詩佳作が多い。その『涼州詞』『登鸛鵲 (かんじゃく) 楼』は唐詩中の絶唱とされている。

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