中国古典詩の一ジャンル。辺塞は国境の要塞,ことに長城をさし,長城をシンボルとする,北部・西部遊牧民族との国境地帯に題材を取った一群の詩。対遊牧民族戦争と,遠征にかりだされた兵士の悲哀が中心で,故郷に残した妻への兵士の想いを通じて,閨怨(けいえん)詩に結びつく。国境を旅する作者の緊張した内面を写すものもある。楽府(がふ)の形式を取ることが多い。古来,西北国境に重圧を加えた遊牧民族との闘争は,中国の歴史的課題であり,それに文学的表現を与えたのが辺塞詩である。漢代に烏孫(うそん)公主や李陵など,辺塞の地を踏んだ人の感懐が伝えられるが,意識的には斉・梁期(479-557)から作られはじめ,唐代前半の世界帝国形成を背景に,岑参(しんじん),高適(こうせき),王昌齢らによるめざましい繁栄があった。中唐以後は,辺塞に対する詩的エネルギーは衰弱して,ほとんど跡を絶つ。耶律楚材(やりつそざい)の西域詩などがあっても,辺塞詩とはいいがたい。
執筆者:入谷 仙介
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
年齢を問わず、多様なキャリア形成で活躍する働き方。企業には専門人材の育成支援やリスキリング(学び直し)の機会提供、女性活躍推進や従業員と役員の接点拡大などが求められる。人材の確保につながり、従業員を...
10/29 小学館の図鑑NEO[新版]動物を追加
10/22 デジタル大辞泉を更新
10/22 デジタル大辞泉プラスを更新
10/1 共同通信ニュース用語解説を追加
9/20 日本大百科全書(ニッポニカ)を更新