人形浄瑠璃,歌舞伎狂言の分類の一つ。〈王代物〉ともいう。時代物のうち,上代および平安時代の天皇家や公卿の社会を扱った作品をさす。日本武尊・神功皇后からはじまり源平合戦以前の年代にあたるが,風俗は江戸期に移しているものが多く,時代に即しているわけではない。代表的なものは,人形浄瑠璃に書かれた《用明天王職人鑑(ようめいてんのうしよくにんかがみ)》《百合若大臣野守鏡(ゆりわかだいじんのもりのかがみ)》《菅原伝授手習鑑》《妹背山婦女庭訓(いもせやまおんなていきん)》《競(はでくらべ)伊勢物語》《倭仮名(やまとがな)在原系図》《小野道風青柳硯》など。歌舞伎狂言では《天満宮菜種御供(てんまんぐうなたねのごくう)》など。とくに,《妹背山》のように蘇我氏と藤原氏の抗争が基底となっている作品の系列を〈大織冠〉と呼ぶ。
執筆者:藤田 洋
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…時代物は,中世以前の公家や武家社会の事件を背景とした作品群で,江戸時代の庶民の日常生活の身近なところで起こった事件を扱う世話物に対する用語である。細分化すると,《菅原伝授手習鑑》や《妹背山婦女庭訓》のように王朝の公家社会を題材とする〈王朝(代)物〉,《一谷嫩軍記》《ひらかな盛衰記》《本朝廿四孝》《奥州安達原》《近江源氏先陣館》《絵本太功記》などのほか,数々の曾我兄弟の仇討を扱った狂言のように,源平合戦から戦国時代に至る戦乱を背景として武士社会を中心の題材とする作品群(これが狭義の時代物である),そして《仮名手本忠臣蔵》《伽羅先代萩》《加賀見山旧錦絵》のように,江戸時代に諸大名の藩中で起こった事件を扱う〈お家物〉の3種類に分けることができる。もっとも,〈お家物〉は,本来〈時代物〉〈世話物〉〈お家物〉と並んで独立する概念であるが,元禄期の狂言を除いては,当時実際に起こった事件を劇化することが禁じられていたため,たとえば《忠臣蔵》が〈太平記の世界〉に仮託し,高師直,塩冶判官の役名をかりて脚色したように,形式上は〈時代物〉に包含されるのである。…
…近代以降に創作された史劇である活歴物も含まれる。時代物のうち,とくに王朝時代の公卿の社会を扱った狂言を王朝物(王代物)と呼んで区別することもある。また,江戸時代の武家社会における事件やお家騒動を扱った作品はお家物と呼ぶが,当代の武家社会の出来事を生のまま劇化することを禁じられていたことから,〈時代〉の世界を借りて劇化されることが多い。…
※「王朝物」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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