改訂新版 世界大百科事典 「現代財閥」の意味・わかりやすい解説
現代財閥 (げんだいざいばつ)
韓国の代表的な財閥,企業グループ。建設業を中心に造船,自動車,電子,石油化学,精油,金融など幅広い分野で事業を展開している。創始者の鄭周永(1915-2001)が1947年に設立した現代建設が財閥形成の起点となった。中核企業である現代建設(2004年12月期資本金5458億ウォン,売上高4兆6461億ウォン)は,朝鮮戦争後の復興とそれに続く国土開発における建設ブームに乗って成長し,さらに,ベトナムと中東の海外建設市場での成果によって,基盤を固めた。この間67年には韓国最大の自動車メーカーである現代自動車(2004年12月期資本金1兆4808億ウォン,売上高27兆4725億ウォン)を,73年には現代重工業(造船・重機械製造,2004年12月期資本金3800億ウォン,売上高9兆0845億ウォン)を設立し重工業部門を拡充し,76年には現代総合商事の設立によって国内外の受注・販売機能を拡大し,韓国有数の財閥グループとしての地位を固めた。また,80年以降は金融業への進出が進み,銀行,証券業に対する出資が増えている。現在,現代グループでは,先端技術産業分野への進出を進めており,特にエレクトロニクス関連の半導体,コンピューターの分野では,海外企業との技術提携を通じて,先端技術の吸収と生産拡大に努めている。現代建設の中東進出,現代重工業の100万トン・ドック建設等は70年代韓国経済の躍進を象徴していたが,他面で同族支配からの脱却,株式公開といった経営体質の改革を迫られた。97年からの経済危機を大幅なリストラで乗り切り,2000年代に入り回復の方向にある。
執筆者:鈴木 明彦+金子 文夫
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報