デジタル大辞泉
「球状黒鉛鋳鉄」の意味・読み・例文・類語
きゅうじょうこくえん‐ちゅうてつ〔キウジヤウコクエンチウテツ〕【球状黒鉛鋳鉄】
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きゅうじょうこくえん‐ちゅうてつキウジャウチウテツ【球状黒鉛鋳鉄】
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例
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球状黒鉛鋳鉄
きゅうじょうこくえんちゅうてつ
spheroidal graphite cast iron
ノジュラー鋳鉄またはダクタイル鋳鉄ともいう可塑性のよい鋳鉄。 1945~48年頃,イギリスの H.モロー,アメリカの A.ギャヌバンらにより開発された。鋳鉄に特定元素を少量添加すると片状黒鉛が球状化するので著しく可塑性が増す効果のあることを,モローはセリウム,ギャヌバンはマグネシウム Mg (いずれも 0.04~0.08%) の添加で見出した。その後,カルシウム,アンチモン,鉛,セレン,テルルなどの添加が有効であることも知られた。現在工業的におもに行われるのは Mgの添加である。ただし Mgはセメンタイトを安定化するので,これを分解・黒鉛化するため,Mg添加とともにケイ素を 2.4%以上に増量する。鋳鉄の地の組織により,(1) 最も軟らかくて可塑性に富むフェライト型,(2) 中間的なパーライト型,(3) 最も硬いセメンタイト型に分けられる。 (2) ,(3) 系統の鋳鉄を 700℃で長時間焼鈍すると内部のセメンタイトが分解し,生じた黒鉛は地の組織から黒鉛球に吸収されるので,その周辺は脱炭してフェライト地になる。顕微鏡下でその形が牛の目に似ているので,これをブルスアイ (雄牛の目) 組織という。普通鋳鉄の2倍以上の引張り強さを示す。伸びのよいことも特徴である。
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
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球状黒鉛鋳鉄
キュウジョウコクエンチュウテツ
spheroidal graphite cast iron
ダクタイル鋳鉄ともいう.鋳込みのままで鉄中に黒鉛が球状に晶出しているもの.1947年にイギリスで鋳鉄にCeを添加することにより,また1948年にはアメリカでMgを添加することにより黒鉛の球状化に成功したが,Mgのほうが安価なため,広く利用されている.わが国では,Ca-Si合金などの添加でも球化することが見いだされている.黒鉛は,フェライトやパーライトに比べて強さがいちじるしく低く,鋳鉄中では空洞とみなすこともできるほどであるが,その黒鉛が普通鋳鉄のように片状に晶出すると,その切欠き効果によって強さがいちじるしく低下するのに対し,黒鉛が球状になれば,強靭性がいちじるしく改善され,引張強さが100 kg mm-2 に及ぶものまで生産できる.耐熱性,耐摩耗性,耐食性などもすぐれているので,機械部品,鋳鉄管,圧延ロール,鋼塊鋳型,ブレーキシュー,炉材金物,土木建築用鋳物などに広く利用されている.Cは3.4~4.0質量%,Siは1.8~2.5質量%,Mnは0.8質量% 以下,Sは0.03質量% 以下である.
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報
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球状黒鉛鋳鉄
きゅうじょうこくえんちゅうてつ
nodular graphite cast iron
spheroidal graphite cast iron
組織中の黒鉛を球状にした鋳鉄。普通の鋳鉄鋳物では黒鉛結晶が薄片状の形で含まれているので強さも低く延性も小さいが、1948年イギリスで、49年アメリカで、それぞれ鋳鉄にセリウムあるいはマグネシウムを少量添加して黒鉛結晶を球状に凝固させることに成功し、鋳鉄の強さ、延性が飛躍的に向上した。これを球状黒鉛鋳鉄とよび、結節状という意味でノジュラー鋳鉄、さらに延性に富むのでダクタイルductile鋳鉄などともよばれる。上水道用鋳鉄管や自動車足回り部品などに広く用いられ、現在では鋳鉄鋳物全体の約40%を占めるに至っている。引張り強さは1平方ミリメートル当り40~70キログラム、伸びは2~15%を示す。
[井川克也]
出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例
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「球状黒鉛鋳鉄」の意味・わかりやすい解説
球状黒鉛鋳鉄【きゅうじょうこくえんちゅうてつ】
ダクタイル鋳鉄,ノジュラー鋳鉄とも。ふつうは片状に存在する鋳鉄中の黒鉛の形を球状化することによって,機械的性質を向上させた鋳鉄。脱硫した溶湯にマグネシウム,セリウムなどを少量添加して球状化する。靭性(じんせい)にすぐれるが,鋳造性は劣る。
→関連項目鋳鉄管|鼠銑
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