琴柱に膠す(読み)コトジニニカワス

デジタル大辞泉 「琴柱に膠す」の意味・読み・例文・類語

琴柱ことじにかわ・す

《「史記藺相如伝による。琴柱にかわ付けにすると調子を変えることができないところから》物事にこだわって、融通がきかないことのたとえ。膠柱こうちゅう

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精選版 日本国語大辞典 「琴柱に膠す」の意味・読み・例文・類語

ことじ【琴柱】 に=膠(にかわ)す[=膠(にかわ)さす]

(琴柱を動かせないように膠でとめると、調子を変えることができないところから) 物事にこだわって、臨機応変の才のないこと。融通がきかないことのたとえ。膠柱(こうちゅう)
紫式部日記(1010頃か)消息文「むかしはよき若人(わかうど)、いまはことちににかはさすやうにてこそ里居して侍るなれ」
※俳句問答(1896)〈正岡子規〉「これは一字余りて音調悪しなどといふは所謂琴柱に膠する者なり」 〔文子‐道徳

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故事成語を知る辞典 「琴柱に膠す」の解説

琴柱に膠す

融通がきかないことのたとえ。

[使用例] 十七字の句を吟ずるに適当なる音調をもって十八字の句を吟じ試み、これは一字余りて音調悪しなどというはいわゆる琴柱に膠する者なり[正岡子規*俳句問答|1896]

[由来] 「史記れんりんしょうじょ伝」に出てくることばから。紀元前三世紀、戦国時代の中国で、ちょうしんという二つの国が戦った時のこと。趙王は、秦のスパイのことばにだまされて、経験豊かな老将、廉頗を指揮官から外し、評判の高い若い将軍に代えようとしました。それを聞いた廉頗の旧友、藺相如は、新任の若い将軍が経験不足から戦況の変化に対応できないことを心配して、「ことじに膠してしつするがごときのみ(琴柱を膠で止めて微妙な音程の調整ができないようにして、大型の琴を演奏しようとするようなものです)」と忠告しましたが、王の決意は変わりません。案の定、新任の若い将軍は秦軍に翻弄され、趙軍は惨敗してしまったのでした。

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