琴柱形石製品(読み)ことじがたせきせいひん

改訂新版 世界大百科事典 「琴柱形石製品」の意味・わかりやすい解説

琴柱形石製品 (ことじがたせきせいひん)

日本の古墳時代の石製装飾品のひとつ。古墳の副葬品として出土する。材質には碧玉と滑石とがあり,形態もまた一様でない。滑石製品には,高さ2~4cmでY字形を呈し,交差部から下端上下の貫通孔を有するものや,高さ2~7cmで工字形をなし,上下の横棒の各端に貫通孔をあけたものが多い。なお,工字形品は,突起の有無などによって,2種に分けられる。碧玉製品の場合,滑石製品に比べて出土数が少なく,形態や寸法相違が著しいが,そのなかで,Y字形品に類し,下端に盲孔を有する一群が分離できる。ほぼ,碧玉製品は4世紀,滑石製品は5世紀にあたる。用途について,滑石製品の場合,玉の連綴の一部を構成する装身具であったことを推測させる出土例があり,碧玉製Y字形品の場合には,玉杖との関連が指摘されている。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「琴柱形石製品」の意味・わかりやすい解説

琴柱形石製品
ことじがたせきせいひん

琴の弦を支える琴柱に似ている石製品。古墳から出土するものが多く地域としては近畿地方が多い。主として碧玉製であるが,滑石製もあり,4~5世紀に盛行した。用途については明らかではない。

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