日本の古墳から出土する,4世紀代の碧玉製品のひとつ。複数の大型管玉を鉄芯で貫き,上部の湾曲したT字形の杖頭をつける。杖頭の形態には差があり,T字形の両端を二またにしたもの,両側に勾玉各1個をつくりだしたものがある。下端に碧玉製の石突がつく。全長20~50cm。さらに,1959,60年の奈良県桜井市高田のメスリ山古墳の発掘調査では,頂部に角形突起2個を紐で緊縛するもの,頂部の深い十字形溝に2個の翼状飾を相欠き接ぎにして落とし,十字形の立ち飾を構成するものの存在が知られ,杖頭の形態に新例が加わった。また,碧玉製紡錘車が実は玉杖の部品であったらしいこと,木など腐朽しやすい有機物を芯として使う場合があったことも判明した。有機物の芯の使用を想定することによって,碧玉製紡錘車,大型管玉,筒形石製品が玉杖の一部であったことが推測される。なお,T字形杖頭の原型を鹿角製品に求める説があり,また,鳥取市高住の塞ノ谷遺跡から木製の玉杖形品が出土。
執筆者:川西 宏幸
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
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