最新 地学事典 「生体鉱物」の解説
せいたいこうぶつ
生体鉱物
biomineral
生物がつくる鉱物。生物がその体内に骨細胞や外套膜の作用で形成されるような鉱物に対して,大森啓一により生鉱物という言葉として最初に用いられ,英語訳としてbiomineralとされた。生鉱物,バイオミネラル,生物性鉱物(biogenic mineral)とも。生物の体内につくられるものだけでなく,排泄など生物活動にかかわってできる鉱物も含めることもある。生体鉱物はモネラ界,原生生物界,菌界,植物界,動物界に広く分布する。陽イオンは2価のアルカリ土類金属のMg・Ca・Sr・Baなどから,Fe・Mnなど他の多くの種に及ぶ。陰イオンでは,炭酸塩・リン酸塩・ハロゲン化物・硫酸塩・酸化物・水酸化物・珪酸塩・硫化物・金属塩・酢酸塩・シュウ酸塩・有機酸塩などがあり,明らかなものだけでも60以上の鉱物種に及ぶ。陽イオンのCaと結合した系の,あられ石・方解石・りん灰石,あるいはシリカ鉱物の非晶質のオパールなどは最も代表的であるが,これ以外にも多様な生体鉱物がある。これらは,骨・殻など生物体の支柱・保護のため,歯・歯舌など消化のため,生体反応に必要な有用イオン類の貯蔵として,重力・磁力のセンサーとして,あるいは生体への有害物を固化し排泄するためなど,さまざまな働きをしている。参考文献:H.A.Lowenstam et al.(1989) On biomineralization, Oxford Univ. Press
執筆者:寒河江 登志朗・小林 巌雄
参照項目:硬組織
参照項目:バイオミネラリゼーション
出典 平凡社「最新 地学事典」最新 地学事典について 情報

