生命の木(読み)せいめいのき(その他表記)Tree of Life

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「生命の木」の意味・わかりやすい解説

生命の木
せいめいのき
Tree of Life

美術の主題。古代メソポタミア地方に起った樹木崇拝を示すもので,木は常にしゅろである。砂漠に生えるこの樹木の強い生命力が古代人の崇拝の対象となり,生命力を象徴する図像となったもの。特にアッシリア美術において盛んに表現され,宮殿の壁画浮彫や円筒形印章の陰刻に遺例が多い。代表例は,ルーブルおよび大英博物館が所蔵するアッシリア,カラク出土の前9世紀浮彫など。キリスト教美術における生命の木は,旧約聖書の『創世記』2章9を典拠とし,善悪を知る木と並んで楽園の中央に立つ木で,アダムイブが表現される図中にしばしば描かれる。生命の木として独立した図像は,フランシスコ会の神学者ボナベントゥラが 1274年に構想したもので,キリストが磔刑されている木の幹から左右に 12本の枝が分れ出,その枝には葉のように 48のメダイヨンが配され,そこにキリストの生涯の事跡が図示されている。キリストの系譜 (エッサイの木) の図像と類似しているが異なるものである。代表例は,フィレンツェのアカデミア美術館所蔵のバチーノ・ディ・ボナグイーダの作品 (14世紀初頭) など。

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