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樹木崇拝 じゅもくすうはい tree cults

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

樹木崇拝
じゅもくすうはい
tree cults

樹木が超自然的な力の表現あるいは象徴として働いているとする宗教的観念。樹木の生長,季節ごとのよみがえり,樹液の流れなどが聖なる宇宙的諸力を暗示するものとみなされ,インドメソポタミアエジプトエーゲ海など古代の諸文明圏では普遍的にみられる現象であって,「生命の木」の思想となった。

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デジタル大辞泉の解説

じゅもく‐すうはい【樹木崇拝】

特定の樹木を神聖視する宗教形態。大樹・美樹・老樹などのほか、杉・松・樫(かし)などが崇拝される場合もある。

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世界大百科事典 第2版の解説

じゅもくすうはい【樹木崇拝】

特定の樹木を神聖視して崇拝する宗教的態度をいう。広義には自然崇拝植物崇拝の部類に入る。大樹,美樹,老樹が聖樹とされることも多いが,特定種の樹木が崇拝対象となる傾向が強い。聖なる森が神の住居とされ,礼拝の場となる例は日本に限らず,大原始林に覆われたヨーロッパの歴史の黎明(れいめい)期にもみられた。聖霊降臨祭の行事に森から1本の木を切ってきて村の中央の広場に運ぶ〈五月の木(メーポールMaypole)〉の習俗が伴うのはその名残りで,ペリゴール地方ほかでは〈自由の木〉と呼び,フランス革命の象徴となった。

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大辞林 第三版の解説

じゅもくすうはい【樹木崇拝】

特定の樹木に神霊・精霊などが宿っていると信じ、これを神聖視して崇拝する呪術的・宗教的態度。

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(C) Sanseido Co.,Ltd. 編者:松村明 編 発行者:株式会社 三省堂 ※ 書籍版『大辞林第三版』の図表・付録は収録させておりません。 ※ それぞれの用語は執筆時点での最新のもので、常に最新の内容であることを保証するものではありません。

日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

樹木崇拝
じゅもくすうはい

特定の樹木あるいはその集まりを神聖視し、また礼拝の対象とすること。樹木崇拝は、ヨーロッパの宗教史上大きな役割を果たしている。古代ゲルマン人の社会で「聖なる森」の崇拝があり、古代ローマでもロムルス王(伝説的なローマの建国者)の神聖なイチジクの木が崇拝された。地中海地域にはカシの木の崇拝が古くからあり、アテネ女神崇拝も元来の崇拝対象はカシであり、この木はゼウス神とも結び付き、力を象徴するものと伝えられている。カシの木の崇拝は古代ケルト人の間でも盛んで、彼らのドルイド僧団は、宗教行事をカシの森で行った。今日も残る風習として、こうした聖樹崇拝に由来するといわれるクリスマス・ツリーがある。またヨーロッパ北部では、春あるいは初夏に、森に入って木を伐(き)り倒し、それを村へ持ち帰って広場に立てたり、木の枝を各戸に結び付ける、「5月の木」May-pole, May-treeの風習もある。聖霊降臨祭に伴う樹木崇拝も知られるが、樹木に神が降りるというよりは、本来の目的は、樹木のもつ生命力、また樹木に宿る精霊の力を新たに招来するところにある。5月の到来が、人間の形をし、葉や花で装飾された像によって、あるいは植物の力を体現する現実の人間によって祝われるのも、同様の意味をもっている。
 木に呪力(じゅりょく)、生命力を認める考え方は、死者に生命をもたらし、病気を治し、若さを回復する神秘の木である「生命の樹」の観念をもたらした。エデンの園には、この「生命の樹」と同時に善悪を知る「知恵の樹」があったと伝えられ、キリスト教の十字架は「生命の樹」の表象として描かれている。
 ヨーロッパ以外でも呪力をもつと考えられる木、あるいはその精霊は、人々にさまざまな恩恵をもたらすと思われている。それは、雨や、日の光を与え、また農作物を成長させ、家畜を殖やし、人間に子供を恵む力をもつとされ、これらをめぐって、さまざまな儀礼が行われ、また伝承も各地に存在している。そして、村落の入口や内部に聖なる木が生えており、村落近くに神聖な森があって、そこが精霊や神のすみかとなり、宗教行事の場となる例がある。生命力、呪力をもつ木を崇拝することはまた、樹木と人との間に神秘的なつながりがあるという考えを説明している。樹木と人との関係の表現の一つは、人類あるいは特定の集団が、ある種の樹木から生まれたとする神話である。東南アジアから中国南部、さらに日本に伝わる、竹から人が出現する話(『竹取物語』など)がその一つである。そして、人と樹木との間に生命の交流をみいだす考えも、新生児の胎盤(たいばん)を木の根元に埋めるように、ある個人の成長や死を特定の木に結び付ける風習に表されている。また、死者が木に変わり、また樹木に宿るという信仰もみられる。それを祖先の霊とする民族もあり、殺されたり横死した者が宿るとの考えもある。
 インドにおいては、女性に多産の効果をもたらすため、異なる種の木を儀礼的に結婚させる風習がある。独身で死んだ者の棺にバナナの木を入れて配偶者を表すことも、東南アジアにみられる。これらの風習の背景には、人間や人間がつくりあげた文化と、樹木を含む自然とに、連続性を認める態度がある。
 木は、人間と同様に生命や霊魂をもち、感情ももつと考えられている。そのため木をむやみに伐ることや枝を折ることが戒められ、伐木の場合にも供犠を行うなどの一定の儀礼を必要とする。この場合、とくに大木や老木、特別な形状の木が対象となるのがしばしばである。樹木崇拝は、こうした汎(はん)生命観やアニミズムの考えに基づくものがあるとともに、樹木の宇宙論的、象徴論的意味にも基づいている。インドの伝承では、根を大空にうずめ、枝を大地に伸ばす逆立ちした巨大な木の形で宇宙を表している。世界の中心に、天と地上と地下を結んで大木が立つという観念は、北ヨーロッパから中央アジアに顕著であり、このような世界樹は世界の支え、宇宙軸であるとともに、天と地との通路とも考えられている。こうした宇宙論的背景をもたないとしても、樹木を神の降臨する場とする考えは世界の各地でみられる。[田村克己]
『M・エリアーデ著、堀一郎訳『大地・農耕・女性』(1968・未来社) ▽フレイザー著、永橋卓介訳『金枝篇』全5冊(岩波文庫)』

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