安静状態や体を動かさない状態が長く続くことにより、心身の機能が低下する症状。医学的には廃用症候群という。筋力や心肺機能が低下し、日常的な動作にも支障をきたすようになり、精神面でうつ状態になることもある。重症化すると、歩けなくなり、寝たきりになってしまう例もある。とくに高齢者や障害のある人、また、災害による極端に不自由な状況や不慣れな避難所での生活を強いられている人も陥りやすい。
症状は、心身の機能の明らかな低下よりも先に、日常の生活行為や地域活動の不活発化などとして表れることが多い。その後、疲れやすさや体が動きにくいといった症状となり、一見、認知症のようにみえる頭脳の働きの低下やうつ状態などがみられるようになる。急に立ち上がったときにめまいや立ちくらみが起こる起立性低血圧も典型的な症例の一つで、疲れのためと誤解して寝込んでしまい、症状を悪化させる例が少なくない。
「動かない、動けない」ために生活不活発病となり、そのためさらに「動かない、動けない」という悪循環に陥らないようにするには、普段の予防と早期発見がたいせつである。予防は単に体を動かせばよいわけではなく、生活の変化や不活発になっていることがないかを考え、本来の活発な生活を維持することである。また、車椅子(いす)や介護サービスなどに過剰に頼る補完行為は症状を悪化させる場合もあるため、注意が必要である。
[編集部]
(2015-1-30)
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