日本大百科全書(ニッポニカ) 「由理柵」の意味・わかりやすい解説
由理柵
ゆりのき
秋田県由利本荘(ゆりほんじょう)市地方にあった古代城柵(じょうさく)。この地方は出羽(でわ)国飽海(あくみ)郡由理郷であった。780年(宝亀11)の奥羽の戦乱期に際しても、『続日本紀(しょくにほんぎ)』同年8月条に「賊の要害に居り、秋田之道を承(う)く」と記されるごとく、庄内(しょうない)平野の出羽国府と秋田城を結ぶ中継拠点的な施設で、内陸の雄勝(おかち)城にも対した。駅家(うまや)も併設され、由理駅の南は蚶方(きさかた)駅、北は白谷(しらや)駅に通じた。子吉(こよし)川沿岸の地名「古雪(ふるゆき)」は古柵(ふるき)に発する遺名と認められ、中世には古木とも書かれた。
[新野直吉]