(読み)さく

精選版 日本国語大辞典 「柵」の意味・読み・例文・類語

さく【柵】

〘名〙
角材または丸太をまばらに立て、貫(ぬき)をわたした囲い、垣根。ませがき。やらい。また、敵の侵入を防ぐために、杭などを立てて作った防塞。き。〔十巻本和名抄(934頃)〕
② 木を立て並べて造った小規模の城。城(き)。塞(とりで)。き。
※続日本紀‐文武二年(698)一二月丁未「令越後国修理石般柵
③ しがらみ。
平家(13C前)七「足軽共をつかはして柵(サク)〈高良本ルビ〉をきりおとす〈略〉山川なれば水は程なく落ちにけり」

くえ くへ【柵】

〘名〙
① 柵(さく)。垣(かき)。くえがき。
② 港の出入り口
菅江真澄遊覧記(1784‐1809)雪乃道奥雪の出羽路「海あれ水戸のくへふたがれば」

くへ【柵】

〘名〙 ⇒くえ(柵)

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デジタル大辞泉 「柵」の意味・読み・例文・類語

さく【柵】

丸太などを間隔を置いて立て、それに横木を渡してつくった囲い。「を巡らす」
木を立て並べてつくった小規模の防壁。とりで。
[類語]垣根フェンス生け垣築地忍び返しまがき囲い外郭牆壁しょうへき

さく【柵】[漢字項目]

常用漢字] [音]サク(漢) [訓]しがらみ とりで
木や竹などで編んだ垣根。「竹柵・鉄柵
とりで。「城柵

しがらみ【柵/×笧】

《動詞「しがら(柵)む」の連用形から》
水流をせき止めるために、川の中にくいを打ち並べて、それに木の枝や竹などを横に結びつけたもの。
引き留め、まとわりつくもの。じゃまをするもの。「世間の―」
[補説]書名別項。→しがらみ

しがらみ[書名]

中村憲吉の第3歌集。大正13年(1924)刊。

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改訂新版 世界大百科事典 「柵」の意味・わかりやすい解説

柵 (さく)

城郭の防御施設の一種。《築城記》に〈サクノ木ノ長さ,土より上六尺余たるべし。およそ一間の内ニ五本ばかり立つべし。但し木ノ大小ニヨリ心得あるべし。人ノクヾラザル程ニ立つべし〉とあるように,立木を結い回したものである。古代の奥州の豪族の城郭は,この柵を防御施設の主体としたので,それら城郭自体を柵の名で呼んだ。中世曲輪(くるわ)を主体とする城郭においても,曲輪の縁辺に柵を設けて敵の侵入を防いだ。柵より臨時的なものは垣楯(かいだて),恒久的なものは塀になる。柵に枝つきの樹木を引っ掛けると逆茂木(さかもぎ)になる。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「柵」の意味・わかりやすい解説


さく

「き」とも読む。主として古代の防御施設で,『倭名類聚抄』に「巨木を編む」とあり,木を立てて構えた城をいう。城も「き」と呼ばれ,城と柵との厳密な区別は明らかでないが,土をもって構えたものを城,木を立てて構えたものを柵という説もある。大化3 (647) 年蝦夷防備のために渟足柵 (ぬたりのき) を築き,柵戸 (きのへ) をおいたというのがその初めという。奈良~平安時代を通じて散見される。また鎌倉~戦国時代にも,城郭や戦陣に矢来のたぐいで柵の文字を使用したものがある。文献上には磐舟,都岐沙羅,出羽,多賀,新田などの柵名がみえるが,一部を除いて現地比定は困難である。

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山川 日本史小辞典 改訂新版 「柵」の解説


さく

(1)「き」とも。城柵とも。7世紀以降律令政府が東北の蝦夷を治めるために築いた行政施設。柵や築地で囲まれ,櫓(やぐら)を要所に備えるなど一定の防御機能をもった。新潟県渟足(ぬたり)柵・宮城県多賀城・岩手県胆沢(いさわ)城など21の柵が知られる。(2)11世紀後半に安倍氏・清原氏など東北地方の豪族が築いた城郭。発掘された秋田県横手市の大鳥井柵は,幅6mの堀と高さ1.3mの土塁を巡らした本格的な城郭であった。

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世界大百科事典(旧版)内のの言及

【垣】より

…一般に,板塀や土塀のように表面が連続して平滑な面をなすものを塀,間隙の多いものを垣と呼ぶ傾向がある。柵も垣の一種であるが,角材や丸太をまばらに建てて,横木で連結したものを指して多く使われる。全く同一のものを,場合によって,垣,塀,あるいは柵と呼ぶことも少なくない。…

※「柵」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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