反陽子(読み)ハンヨウシ(英語表記)antiproton

翻訳|antiproton

デジタル大辞泉 「反陽子」の意味・読み・例文・類語

はん‐ようし〔‐ヤウシ〕【反陽子】

陽子質量などは同じであるが、磁気モーメント符号が逆の粒子

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精選版 日本国語大辞典 「反陽子」の意味・読み・例文・類語

はん‐ようし‥ヤウシ【反陽子】

  1. 〘 名詞 〙 陽子の反粒子。陽子と同じ質量をもち、負の電荷をもつ素粒子。陽子と衝突すると、両者の質量分に相当するエネルギーを爆発的に発して両者の質量は消失する。一九五四年宇宙線中に発見、五五年、カリフォルニア大学の核破壊装置ベバトロンによって人工的に作られた。アンチプロトン。〔世界を変える現代物理(1963)〕

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「反陽子」の意味・わかりやすい解説

反陽子
はんようし
antiproton

素粒子の一つでアンチプロトンともいう。陽子の反粒子で質量は陽子に等しく、電荷は負で大きさは陽子のそれに等しい。スピン1/2でフェルミ‐ディラック統計に従う。

 相対論的場の量子論によれば、すべての粒子には反粒子が存在するので、理論的にはその存在は予言されていたが、1955年アメリカ、カリフォルニア大学のベバトロン(陽子加速器一種)で人工的に創造され確認された。物質中の反陽子は陽子・中性子と対(つい)消滅してπ(パイ)中間子などに転化する。

益川敏英

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改訂新版 世界大百科事典 「反陽子」の意味・わかりやすい解説

反陽子 (はんようし)
antiproton

陽子の反粒子。したがって陽子と同じ質量,スピンをもち,質量数は-1,負の電荷,陽子と同じ大きさで逆符号の磁気モーメントをもつ。ふつうpで表される。陽電子の発見(1932)以来,反陽子の存在は理論上予想されており,1955年アメリカのカリフォルニア大学(バークリー)で加速器により実際につくり出された。一般に反陽子は高エネルギーの素粒子反応で生成され,物質中の陽子または中性子と衝突して消滅し,数個(平均約5個)のπ中間子となる。
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百科事典マイペディア 「反陽子」の意味・わかりやすい解説

反陽子【はんようし】

陽子の反粒子。質量は陽子と同じで負の電気素量をもつ。1955年セグレらがカリフォルニア大学の陽子シンクロトロン(ベバトロン)で加速した陽子を陽子に衝突させて創造。陽子と対をなして生成し,直ちに陽子と合体して数個のπ中間子に変換するので,自然界に安定に存在しない。→反物質
→関連項目セグレチェンバレン反中性子

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化学辞典 第2版 「反陽子」の解説

反陽子
ハンヨウシ
antiproton

陽子の反粒子.すなわち,荷電の符号と磁気モーメントの向きが逆なだけで,質量,電荷量は陽子とまったく同一である.と表す.Emilio SegrèとOwen Chamberlainが,カリフォルニア大学バークレー校の陽子シンクロトロンBevatronの6.5 GeV 陽子ビームで銅のターゲットを衝撃してつくり出した(1955年).加速器で新粒子をつくり出した最初のケースである.この功績で,SegrèとChamberlainはノーベル物理学賞を受賞した(1959年).その後,創生期の宇宙の状態を探ることを目的とする気球観測で,宇宙線中に反陽子が数多く観測されている.

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「反陽子」の意味・わかりやすい解説

反陽子
はんようし

反核子」のページをご覧ください。

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世界大百科事典(旧版)内の反陽子の言及

【素粒子】より

…これがディラックの予言した電子の反粒子である。また,55年にはE.セグレ,O.チェンバレンらが,加速器を使った実験において陽子の反粒子である反陽子を発見,さらに翌年には中性子の反粒子である反中性子も発見され,現在では,バリオンには反バリオンが,またレプトンには反レプトンが存在することがわかっている。
[奇妙な粒子strange particle]
 1947年,イギリスのG.D.ロチェスターとC.C.バトラーは,磁場の中においたウィルソン霧箱の中に図1のような2種類のV字形をした飛跡の写真を見つけた。…

※「反陽子」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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