改訂新版 世界大百科事典 「白い嫁と黒い嫁」の意味・わかりやすい解説
白い嫁と黒い嫁 (しろいよめとくろいよめ)
《グリム童話集》135番にあてられた題名。類似の継子話は北欧,中欧,東欧,南欧でも伝承されている。したがって変化も多いが,ほぼ次のような話である。貧乏人の姿をした神が道を尋ねると,実子は冷たいが継子は親切に答え,そのお礼として美しさを与えられる。継子の兄は王の御者をしているが,彼のもっていた妹の絵が王の目にとまり,継子が求婚される。嫁入りの途中で継母は継子を川に落とし,実子を王の嫁にする。川に落とされた継子は鴨に姿をかえて王城の台所に現れ,真実を歌う。王が鴨の首を切り落とすと美しい娘になり,事の真相を打ち明け,継母と実子は罰せられる。日本では,沖永良部島などに伝えられている〈白鳥の姉〉という話がこれに類似しているが,他には類話も少なく,ヨーロッパのこの型の話との伝播関係を証明するにはいたっていない。
執筆者:小澤 俊夫
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報