診察室(医療機関)で測定する血圧が非高血圧であっても、診察室外(家庭で測定する血圧など)では高血圧を示す状態。診察時の血圧測定だけでは発見できず、高血圧がマスクされている(仮面をつけている)という意味でこのように呼称される。具体的には、診察室血圧の平均が140/90ミリメートル水銀柱(mmHg)未満で、家庭血圧が135/85mmHg以上あるいは自由行動下血圧測定(ABPM)での24時間平均血圧が130/80mmHg以上である場合をいう。
仮面高血圧を構成する病態として早朝高血圧、昼間高血圧、夜間高血圧があり、診察室外血圧が上昇している時間帯で区別される。
(1)早朝高血圧 診察室血圧が140/90mmHg未満で、早朝に測定した家庭血圧の平均が135/85mmHg以上の場合。早朝高血圧には夜間高血圧から移行するタイプと朝方に血圧が急上昇するサージタイプがある。
(2)昼間高血圧 診察室血圧や家庭血圧が非高血圧でも、職場や家庭でのストレスにさらされている昼間の時間帯のABPMによる血圧の平均値や職場での血圧値が、再現性よく135/85mmHg以上となる場合。
(3)夜間高血圧 ABPMまたは家庭血圧計で測定した夜間(就寝中)血圧の平均が120/70mmHg以上の場合。
仮面高血圧は、非高血圧を示す一般の人の10~15%、140/90mmHg未満にコントロールされている降圧治療中の高血圧患者の9~23%にみられ、仮面高血圧の人の脳心血管病発症のリスクは、非高血圧者と比較して有意に高く、持続性高血圧の人と同程度であるとされる。
なお、仮面高血圧に対し、診察室で測定した血圧が高血圧であっても、診察室外血圧は非高血圧を示す状態を「白衣高血圧」という。医療従事者の着る白衣を見ると、緊張から血圧が上がることに由来する。
[編集部 2020年8月20日]
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