目隠(読み)めかくし

精選版 日本国語大辞典 「目隠」の意味・読み・例文・類語

め‐かくし【目隠】

〘名〙
① (━する) 布などで目をおおって見えないようにすること。また、そのおおうもの。
西洋道中膝栗毛(1870‐76)〈仮名垣魯文〉九「この馬はなんぼ目隠(メカク)しをさせねへといっても道草ばかり食ってさっぱりあるかねへのう」
② 比喩的に、先入観など、正しく物事を判断することをさまたげるもの。
※一九二八・三・一五(1928)〈小林多喜二〉八「誰が一体その目隠しを取り除けてやり、彼等の催眠術を覚してやらなければならないのだ?」
③ 子どもの遊びの一つ。一人が布などで目をかくして鬼になり、手を打ち鳴らす音によって、手さぐりで捕えて、捕えられた者が代わって鬼になるという遊び。地方により、めなしちご、めんないちどり、めなしどち、めどち、めなしおになどという。目隠し遊び。目隠し鬼。盲おにご。
※酒食論(室町)「すまふ、目かくし、ちからもち」
④ (━する) 家の内部が外から見えないようにおおいかくすこと。また、そのおおい。高い窓などから、隣家などをのぞけないようにするおおいもいう。はたいた。みかくし。
※春迺屋漫筆(1891)〈坪内逍遙〉壱円紙幣の履歴ばなし「杉垣もまだ能くは延びず且所々枯れ隙きたるを目(メ)かくしは作らで」
⑤ (「めがくし」とも) 相撲の手の一種。相手の顔を平手で打って目をくらませるもの。
※虎明本狂言・文相撲(室町末‐近世初)「はしはしとうつと思ふたれば、目がくるくるとまふた。〈略〉今のは、某が国本にはやる目がくしと申手じゃと仰られ」
※今物語(1239頃)「ひじりの屋をばめかくしに葺け。〈略〉天の下にもりて聞こゆることもあり」
[補注]③については、「台記」の久安六年(1150)四月一〇日条に「渡御宮御方、〈略〉有目執人之遊」とあって、古くから行なわれていたものであることがわかる。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

今日のキーワード

脂質異常症治療薬

血液中の脂質(トリグリセリド、コレステロールなど)濃度が基準値の範囲内にない状態(脂質異常症)に対し用いられる薬剤。スタチン(HMG-CoA還元酵素阻害薬)、PCSK9阻害薬、MTP阻害薬、レジン(陰...

脂質異常症治療薬の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android