真曲抄(読み)しんきょくしょう

改訂新版 世界大百科事典 「真曲抄」の意味・わかりやすい解説

真曲抄 (しんきょくしょう)

早歌(そうが)(宴曲)の撰集の一。明空(みようくう)撰。成立は1296年(永仁4)。《宴曲集》《宴曲抄》など全16巻の撰集の最初のもの(異説もある)。《対揚》《遊宴》《夢》《無常》《法華》《釈教》《浄土宗》《祝》《薫物》《雨》の10曲を所収。仏教主題とする名曲を多く含み,〈真に最奥の位を占める曲〉を集めた重習(おもならい)集・秘曲集に相当する。坂阿(ばんな)自筆本(岐阜円徳寺)などの譜本があり,その中には早歌史にとって重要な識語や,唱演上の口伝を書き込んだものがある。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内の真曲抄の言及

【明空】より

…武士階層の出身者か,あるいは初めから僧籍にあった者かも不明だが,外村久江説では,鎌倉極楽寺または三村寺と関係のあった僧侶で,早歌のもう一人の大成者月江(げつこう)と同一人物とされる。早歌の撰集16巻のうちの《宴曲集》《宴曲抄》《真曲抄》《究百集》《拾菓集》を撰し,上記の巻の所収曲120曲中,《春》など81曲を作詞,《秋》など111曲を作曲した。仏典,漢籍,国典に通じ,《応仁略記》に〈郢曲相伝に至っては,元祖明空以来七代の伝也。…

※「真曲抄」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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