明空(読み)ミョウクウ

関連語 省画 蒲生

精選版 日本国語大辞典 「明空」の意味・読み・例文・類語

みょうぐうミャウグウ【明空】

  1. 鎌倉後期の早歌の作詞者。作曲もし、「宴曲集」「究百集」「宴曲抄」「真曲抄」「拾菓集」など多く撰集がある。天台宗の僧という説もある。生没年未詳。

めいくう【明空】

  1. みょうぐう(明空)

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改訂新版 世界大百科事典 「明空」の意味・わかりやすい解説

明空 (みょうくう)

鎌倉中期の僧で,早歌(そうが)(宴曲)の大成者。生没年,生没地は不詳だが,1240年(仁治1)ころ生まれ,1310年代まで活躍した。武士階層の出身者か,あるいは初めから僧籍にあった者かも不明だが,外村久江説では,鎌倉極楽寺または三村寺と関係のあった僧侶で,早歌のもう一人の大成者月江(げつこう)と同一人物とされる。早歌の撰集16巻のうちの《宴曲集》《宴曲抄》《真曲抄》《究百集》《拾菓集》を撰し,上記の巻の所収曲120曲中,《春》など81曲を作詞,《秋》など111曲を作曲した。仏典,漢籍,国典に通じ,《応仁略記》に〈郢曲相伝に至っては,元祖明空以来七代の伝也。明空と申せし人,熊野権現利生に依って,郢曲の秘譜を製創せらる〉とあるように,貴族の催馬楽(さいばら)・朗詠・今様(いまよう),僧侶の声明(しようみよう)・講式などの声曲を幅広く身につけた,教養ある文化人であったと思われる。中世の語り物音楽の新生面をきりひらくことに貢献した。
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デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「明空」の解説

明空 みょうくう

?-? 鎌倉時代の早歌(そうが)(宴曲)の作者
おもに武家,僧侶にうたわれた早歌の大成者。「宴曲集」など12巻を編集し,その大部分はみずからの作詞・作曲による。成立は嘉元4年(1306)以前。早歌のもうひとりの大成者月江(げっこう)と,同一人物,あるいはその弟子という説がある。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「明空」の意味・わかりやすい解説

明空
みょうくう

仏教歌謡である早歌 (そうが) (→宴曲 ) の始祖とされる鎌倉時代の僧。経歴は未詳。『宴曲集』『宴曲抄』『拾菓集』などの撰者であり,それらの収載曲の多くが彼自身の作である。なお,早歌の作者として月江がいるが,明空の字の省画であるため,同一人物とみる説もある。

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世界大百科事典(旧版)内の明空の言及

【宴曲抄】より

…3巻3冊。30曲所収,うち21曲は撰者明空の作詞(作曲は全30曲)。前の《宴曲集》に比べ〈熊野参詣〉(京~那智山),〈善光寺修行〉(鎌倉~信濃)の寺社への詳密な道行(みちゆき)や,身近な物によって仏を賛嘆する〈馬徳(うまのとく)〉〈松竹〉など,早歌の特色が十分発揮された集である。…

【海道】より

…道行物の代表作。明空(みようくう)の作詞,作曲によるといわれる。1301年(正安3)以前に成立の《宴曲集》巻四に所収。…

【嘉辰令月】より

…賀部に属する代表曲。《撰要目録》に作者名の記載はないが,明空(みようくう)の作詞,作曲によるといわれる。1301年(正安3)以前に成立の《宴曲集》巻二に所収。…

【月江】より

…経歴等は不明だが,竹柏園本《撰要目録》に〈文保二年(1318)二月之比記之卒 桑門月江〉,尊経閣文庫蔵《異説秘抄口伝巻》に〈文保三年三月上旬之比撰調之 桑門月江〉の識語がみえる。早歌の大成者明空(みようくう)と同一人物とする吉田東伍,外村久江説と,別人とする高野辰之,新間進一説とがある。作詞は《琴曲(きんのきよく)》など21曲,作曲は《管絃曲(かんげんのきよく)》など24曲を数える。…

【真曲抄】より

早歌(そうが)(宴曲)の撰集の一。明空(みようくう)撰。成立は1296年(永仁4)。…

※「明空」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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