(読み)チョウ

デジタル大辞泉 「眺」の意味・読み・例文・類語

ちょう【眺】[漢字項目]

常用漢字] [音]チョウ(テウ)(呉)(漢) [訓]ながめる
遠く見渡す。ながめる。「眺望

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精選版 日本国語大辞典 「眺」の意味・読み・例文・類語

ながめ【眺】

  1. 〘 名詞 〙
  2. ( ━する ) つくづくと見つめて物思いにふけること。感情をこめ、または観賞的態度で見つめること。和歌では、「長雨」に掛けて用いることが多い。
    1. [初出の実例]「天皇、其の他(あだ)し女なることを知ろしめして、恒に長眼(ながめ)を経令め、亦婚しもせずて、惚(ものおも)はしめたまひき」(出典古事記(712)中)
    2. 「花の色はうつりにけりないたづらに我身世にふるながめせしまに〈小野小町〉」(出典:古今和歌集(905‐914)春下・一一三)
  3. 見渡すこと。遠く見やること。また、その風景。眺望。
    1. [初出の実例]「あまの原春とも見えぬ眺めかなこぞの名残の雪の曙〈略〉此眺めかなといふ詞の近比見え侍る、未甘心覚え侍る」(出典:六百番歌合(1193頃)春上・一一番)
    2. 「眺め妙なる気色かな」(出典:謡曲・嵐山(1520頃))
  4. なりかたち、特に、それがよいこと、美しいことをいう。また、見やるべき価値のあること。
    1. [初出の実例]「向ひの岸には〈略〉竿指のべて石持(はぜ)釣風情詠(ナガメ)也」(出典:浮世草子・好色一代男(1682)五)

眺の語誌

( 1 )動詞「ながむ」の連用形が名詞化した語とも考えられるが、挙例の「古事記」にみえる「長眼」などに発する語だとすると、先に名詞「ながめ」があって、後にそれが動詞化したものと考えるべきか。
( 2 )平安時代には「ながめす」とサ変動詞の形でも用いられた。動詞「ながむ」「ながめす」が発達するにつれて視覚動詞化し、やがて視覚の対象が意識されるようになり、院政期以降、視覚行為自体、またはその対象を意味するようになって、「けしき」「風景」などの類義語となる。

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普及版 字通 「眺」の読み・字形・画数・意味


常用漢字 11画

[字音] チョウ(テウ)
[字訓] ながめる

[説文解字]

[字形] 形声
声符は兆(ちよう)。〔説文〕四上に「目正しからざるなり」とは、目の逃(まじ)ろぐことをいう。〔礼記、月令〕「(仲夏の月)以て高に居るべく、以てく眺すべし」とあり、多く遠望する意に用いる。

[訓義]
1. ながめる、遠くみる。
2. みる、察する。
3. まじろぐ、きょろつく。
4. 逃と通じ、にげる。

[古辞書の訓]
〔新字鏡〕眺 与己目(よこめ)、、比加目(ひがめ)、、須加目(すがめ) 〔名義抄〕眺 ミル・ヤム・ニラム・アキラカニ・カヘリミル・ヨコメ・ヒガメ・スガメ 〔字鏡集〕眺 アキラカニ・ノゾム・マナジリ・ノゾミミル・ヤム・ミル・ニラム・カヘリミル

[語系]
眺・thyは同声。(ちよう)は諸侯が三年ごとに朝聘(ちようへい)することで、視る意。(ちよう)は(かい)となり、月が西方に遠くみえることをいう。〔説文〕は眺を(逃)dyと通じて目逃の意とするが、むしろ迢dy、超thiに近い語であろう。

[熟語]
眺矚眺瞻・眺望・眺覧
[下接語]
延眺・遠眺・遐眺・閑眺・仰眺・吟眺・顧眺・高眺・賞眺・登眺・伏眺・遊眺遥眺・流眺・臨眺

出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報

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