デジタル大辞泉
「睨」の意味・読み・例文・類語
出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例
にら・む【睨】
〘他マ五(四)〙
① 目をいからして見つめる。するどい目つきでじっと見る。じっと注視する。にらまえる。にらめる。
※
書紀(720)用明二年四月(図書寮本訓)「物部守屋大連、邪睨
(ニラム)て大きに怒る」
※霊異記(810‐824)中「悪しき眼に
睚眦(ニラミ)逼めて言はく」
※
浄瑠璃・
神霊矢口渡(1770)二「
討死との御覚悟と、睨
(ニラン)だ眼
(まなこ)に違ひは有
(あら)じ」
③ (多く受身の
助動詞を付けて用いる) 特に、注意を要する
人物と考えて警戒する。
※やみ夜(1895)〈樋口一葉〉三「
田地持ちに睨
(ニラ)まれたるぞ
最期」
④ 前もって考慮に入れる。計算に入れる。「
総選挙をにらんでの
発言」
にらみ【睨】
① にらむこと。にらみつけること。
※
談義本・風流志道軒伝(1763)三「鮫が橋へ走ては、親つぶのにらみをうく」
② 人を抑えつける
力量。人を屈服させ反抗させない力。
※漫談集(1929)見習諸勇列伝の巻〈
徳川夢声〉「グッと
仏像の眼を
白眼(にら)んだ。つもりだったんだが、あまり利かない白眼
(ニラ)みだったと見えて」
※俳諧・誹讔三十棒(1771)「延享廿歌仙の
序者貶んと延宝延享の字のにらみで
対句に書たるとばかり、眼がついたものさ」
ね・める【睨】
〘他マ下一〙 ね・む 〘他マ下二〙
① にらむ。
※宇治拾遺(1221頃)九「後あはざらんやはとねめずばこそ、腹の立ほど、かくしつるとも思はめ」
※浄瑠璃・
嫗山姥(1712頃)三「時行取って引きもどしはったとねめ」
② 敵または憎むべき
相手として、憎み、いきどおる。また、好ましくない人物として看視したり警戒したりする。
※
古今著聞集(1254)一六「『おやまきの
聖覚や。ははまきの聖覚や』など、ねめつつ見かへり見かへりにらみけり」
にらま・える にらまへる【睨】
〘他ア下一(ハ下一)〙 にらま・ふ 〘他ハ下二〙 =
にらむ(睨)①
※
平家(13C前)五「入道相国ちともさはがず、ちゃうどにらまへておはしければ」
にら・める【睨】
※海道記(1223頃)東国にさまよひ行く子「六十四眼の睚眦とにらめる光、熱鉄ほとばしるに似たり」
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報