家庭医学館 「知覚過敏症」の解説
ちかくかびんしょう【知覚過敏症 Hyperesthesia】
いろいろな刺激に対して、一過性に歯髄(しずい)の知覚が高まった状態をいいます。細菌などの刺激がなくても、硬組織に閉じ込められた歯髄は痛みをおこすのです。
これは、エナメル質におおわれていた象牙質(ぞうげしつ)が露出することで、神経が入っている歯髄までの距離が近くなり、刺激を受けやすくなったためにおこります。
このような現象は、歯肉(しにく)の退縮による歯根(しこん)面の露出、誤った歯ブラシの使用、歯の破折(はせつ)、入れ歯の不適合、咬耗(こうもう)・摩耗(まもう)(磨耗)、歯石(しせき)の除去などによっておこると考えられます。また、研磨剤入りの歯みがき剤を使用すると、歯の摩耗(磨耗)を早め、象牙細管が開口しやすくなるともいわれています。
最近では肉体的・精神的ストレスによる就寝時の歯ぎしりや、かみしめが1つの要因になるともいわれています。
[治療]
知覚過敏症の治療は、エナメル質のなくなった部位、つまり露出した象牙質の歯髄へつながる管を閉塞(へいそく)させることが基本で、露出部を人工材料でおおい、エナメル質のかわりをさせることが重要です。
まず歯髄の炎症を鎮静化させる処置がとられ、症状が消えたら、象牙質の穴をレジンなどで充填(じゅうてん)して歯髄に刺激が伝わらないようにします。